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しおりを挟むそう、私は、ドルトフスに愛されていると思っていた――ほんの少し前まで、いや、今日呼び出されるまでは。
けれどもそれは間違った捉え方だった。
ドルトフスは私を婚約者の座には置いていたけれど、それは一度決まったものをそのままにしていただけ。本当はもう私を愛してなどおらず、好きな人が別にいたのだ。ドルトフスが愛しているのはその女性、ドルトフスが愛を囁くのだってその女性。
そして、放置になっていた話が、今日ようやく動き出したのだ。
――それが、婚約破棄宣言だった。
私は捨てられたのだ。
でもそれ以上に不愉快だったのは、自分が馬鹿だったこと。
雑な扱いをされていてもなお愛されていると信じていた――それがあまりにも愚かで、どうしても耐えられない。
「……そのような話でしたか、やはり」
人を超えた存在に見える金髪女性はどこか納得したような面持ちだった。
「これでもう良いですか? 分かっていただけましたか?」
「ええ、もちろん、理解しました。それで、貴女は……その男女が結ばれ幸福になることを願っているのですか」
「え……」
「裏切りには罰を。そう思うのであれば、協力しましょう」
そんな言葉が出てくるなんて思わなくて驚き戸惑った。
でも、ドルトフスのことは許せない。
あんな風に裏でこそこそやって、最後にはごみでも捨てるかのように別れを告げてきて。
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