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1話
しおりを挟む「アドレッサー様ぁ、実はぁ、相談したいことがありましてぇ」
その日私は見てしまった。
妹が私の婚約者であるアドレッサーにこっそり近寄ろうとしているところを。
「何だい?」
「姉のこと……なんですけどぉ」
妹はもともと私のものもすぐ羨ましくなる質だった。それゆえ婚約者のことも羨ましそうにしていた時があった。欲しい、とか、奪いたい、とか、そういったことを明言はしていなかったけれど。でもきっとそんな風に考えている部分があるのだろうなとは思っていた。
だから驚きはしない。
彼女が私の婚約者に手を出す。
それは容易く想像できることである。
「レジーナさんの?」
「そうなんですぅ」
「でも、どうして僕に? 僕より君の方がレジーナさんのことを知っているんじゃ」
「実は姉のことで……ぜひお耳に入れたいことがありましてぇ」
――後日。
「レジーナ、妹さんから相談を受けたんだけど、ずっと大人の目につかないところで彼女を虐めていたそうだね」
アドレッサーからそんなことを言われて。
「え……」
「酷いよ。君がまさかそんな悪女だったなんて。僕は君を良い人だと信じていたのに、残念だよ」
「ま、待ってください! 何かの間違いです! 私は妹を虐めたりなんてしていません」
真実の主張をすれば。
「じゃあ彼女が嘘つきだって言うの?」
凄まじく恐ろしい目つきで睨まれてしまった。
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