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2話
しおりを挟む「そうなりますね。悲しいことですが……。なんにせよ、私は彼女を虐めてはいないのです!」
「嘘だな」
「そんな、どうして……」
「悪女ほど嘘をつくものだ。彼女は泣いていたんだぞ?」
「泣いて? それは演技ですよ! だって私、本当に、何もしていないのですから」
すると彼は私の頬を急に張った。
「最低姉だな! もういい、謝るなら許してやろうと思ったが……君なんてもう要らない! 婚約は破棄とする!」
「えええ」
「悪女はすべてを失い惨めに生きればいいんだ」
「待ってください、話が分からな――」
「何だって? それは君が馬鹿だからだろう? こんな簡単な文章すら理解できないなんて馬鹿過ぎるな。ははっ。ま、これはこれで良かった。そんな馬鹿な女を嫁に貰わずに済んだのだから、情報提供してくれた妹さんには感謝しないとな」
こうして私は一方的に悪女扱いされたうえ婚約破棄されてしまったのだった。
――それから少しして、妹がアドレッサーに精神掌握の術をかけていたことが発覚した。
「ごめんレジーナ! そんなつもりじゃなかったんだ!」
アドレッサーは正気を取り戻し私の前に現れた。
「術は解けたのですか?」
「ああ、もう解けた。親が彼女に頼んで解いてもらったんだ。だから今は正気だよ」
でももう彼への情はなくなってしまった。
「……そうですか」
「本当にごめん。でも、僕は君だけを愛している。だから――」
あんなにボロクソに言われたのだ、もう愛することなんてできない。
「貴方の顔なんてもう見たくありません」
だから私はアドレッサーとやり直すことを選ばなかった。
「二度と、私の前に現れないでください。さようなら」
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