婚約破棄されました……。が、挫けず自分なりに生きます!

四季

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1話「誠実な婚約者との別れ、新たな存在との出会い」

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 身分も容姿も性格も問題なく、誠実さもある、この世の女性にとって最高と言っても過言ではないような殿方と婚約することができた。もうすぐ結ばれるはずだった。夢みたいだと思いつつも、幸せの頂点にいた。

 なのに、私ーーリラ・コバルティナは婚約破棄されてしまった。

 彼は異性を恋愛対象として見られない人だった、それが婚約破棄の理由だ。彼は最後まで誠実で、私に「恋愛対象と見られない人と夫婦になるというのは後々問題を起こしかねないと考えたから」と言って、私との関わりを切った。

 自分の勝手な都合で婚約破棄することになってしまったことを悔いていた彼は、謝罪し、賠償金も支払うと言ってくれている。

 分かる、彼が誠実であることは。そして、ゆくゆく私が辛い思いをしないように考えてくれたのだということも、理解はできる。彼は私のために悪役になってくれたのだ。

 それでも、幸せの頂点にあったところから転がり落ちた私は、あまりに辛くて。

 つい衝動的に飛び出てきてしまった。

 今になって後悔している。なぜ最後まできちんと話を聞かなかったのか、と。なぜ逃げ出してしまったのか、と。彼は誠実に向き合ってくれているのだから、私も誠実に向き合わなくてはならなかったのだ。それなのに、私は一切向き合えなかった。ただ逃げることしかできなかった。

 森の中の整備されていない道をとぼとぼ歩きながら、私は溜め息を漏らす。

 私は小さい頃からパッとしなかった。親譲りの綺麗な金髪だけは手にしているが、目鼻立ちは平凡、特別な才能もない。ただのおとなしい娘だった。
 だからこそ、彼と親しくなれた気がしたことが嬉しかったのだ。
 知り合って色々話すうちに盛り上がることができたので、私は有頂天になっていて。この関係は上手くいく、なぜか勝手にそう思い込んでしまっていた。でもそれは私の妄想でしかなかったのだろう。彼は私を恋愛対象としては見ていなかったのだ。

 誰も悪くない。
 でも辛いことに変わりはない。

「えっ?」

 歩いていた時、私はふと人影のようなものに気づいた。
 砂利が時折痛い道の脇にある一本の樹、その根もとに、見知らぬ人が座っていたのだ。

 気がついた時には足が動いていて。数秒後には、私は、見知らぬ人の目の前まで歩いていっていた。立ち止まり見下ろすと、幻想的な雰囲気の美青年であることが判明する。

 銀の髪。陶器のような肌。長い睫毛。
 絵本に出てくる不思議な国の住人みたいな外見だ。

 私は暫しその姿を眺めていた。神様にでも出会ったのか、というような、奇妙な感覚に襲われながら。得体の知れない存在に戸惑いつつも、訳もなく惹かれる。

 じっと見つめていた最中、美青年の目もとが微かに動いた。

「……ん」

 数秒後、彼は瞼を開く。
 瞳は黄金。長い睫毛とは違う色。けれどもとても美しく、見る者を魅了する力をはらんでいる。また、鉱物のようでもあった。

 視線が重なり、言葉を失っていると。

「君は……誰だい?」

 そんな風に問われた。
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