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しおりを挟むその日、なぜか朝から頭が痛かった。
頭部が重い。脳がぎりぎりする。激痛とまではいかないので危険な状態ではないと思うのだが、どうしてか執拗に重苦しさという表現が近いような痛みが頭を襲っている。
そんなだからその日私は寝ていた、のだが。
「急に来てわりぃな」
婚約者ポトッフが急に押し掛けてきて。
「お前との婚約なんだけどさ、破棄することにしたから」
そんなことを言ってきた。
それも、さもそれが当たり前であるかのような言い方で。
「え……」
「俺さ、もっと良い女性を探すことにしたんだ。だからわりぃけどお前とは今日まで、ここまでな! じゃ、そういうことなんで」
彼の話はあまりにも身勝手かつ唐突で。
「それじゃ、ばいばい」
私はただきょとんとする外なかった。
しかしそんな状態でいるうちにさっさと帰っていかれてしまった。
それから少しして、母が部屋に駆け込んでくる。
「婚約破棄になったの!?」
私の体調がすぐれないことは知っている母だが、今はそれどころではないと考えているようだ。
「あーうん、何かそう言われた……」
「どういうことよ!? 喧嘩とか、何かあったの!?」
母は混乱しているようだ。
いや、でもまぁ、そうなるだろう。おかしな反応ではないと思う。いきなりそんなことになったことを知ったら誰だって狼狽えるはず。私は今日体調がいまいちだからこそ半分ぼんやりしていられているが、もしこれが健康な時であったとしたらきっともっと混乱し慌てたと思う。ここまでぼさんとはしていられなかったことだろう。心乱されただろうし。
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