上 下
1 / 3

1話「その日は突然」

しおりを挟む
 その日は突然やって来た。

「俺はお前みたいは外れくじじゃ満足できねえんだよ」

 婚約者オーベンと彼の家でお茶を飲んでいた時だ。

「だから、婚約、破棄な」

 彼は急にそのようなことを言い出して。
 あまりに唐突だったので一瞬悪魔に憑かれでもしたのかと思ったくらいであった。

 でもどうやらそういうわけではないようで。

 彼は本心を述べているだけのようだった。

「また唐突ね」
「これまでは我慢してきた」
「いきなり酷いのね」
「酷いも何も、それが現実なんだよ。俺はお前なんかどうでもいいんだ」

 彼は平然と人を傷つけるようなことを言う。

「そもそもだな、お前に近づいたのはお前じゃなくお前の姉を嫁に貰うためだったんだ」

 意外なところで知らなかったことが明るみに出た。

「なのになんだかんだでお前を押し付けられることになっちまった。がっかりだぜ。ま、あの麗しい女性となら、親戚になれるだけでも良かったんだけどさ。だからこれまではお前で我慢してきた」

 酷いなぁ、と、思わざるを得ない。
 私がそんなに嫌なら、最初に話が出た時にはっきりと断れば良かったのに。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

1人の男と魔女3人

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:312pt お気に入り:1

ほろ甘さに恋する気持ちをのせて――

恋愛 / 完結 24h.ポイント:411pt お気に入り:17

100文字日記-12月

エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

婚約破棄してドヤ顔ですが…隣の令嬢、私の親友ですよ。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:2,586

浪漫談義

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

鐘の音を聞きながら

青春 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

俺の恋路を邪魔するなら死ね

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:13

妹は人気男装ユーチューバー!?

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

文化祭

青春 / 完結 24h.ポイント:340pt お気に入り:1

二番煎じな俺を殴りたいんだが、手を貸してくれ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:404pt お気に入り:0

処理中です...