甘い香りが漂う街を 二人歩いていたね

四季

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甘い香りが漂う街を 二人歩いていたね

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甘い香りが漂う街を
二人歩いていたね
あの頃は何もかもが楽しくて
また眩しかった

毎日が希望に満ちていたから
辛いことなんてなくて
痛いことなんてなくて
嫌なことが起きたとしても乗り越えられた

それはきっと
あなたという支えがあったから

「大丈夫」

そう言って笑えたのは

あなたがいてくれたからだったんだと

今なら分かる
今なら言える

「ありがとう、平気」

そう言って明るくいられたのは

あなたがいてくれたからこそだったんだと

今なら分かるし
今なら認められる

甘い香りが漂う街を
二人歩いていたね
あの頃は何もかもが楽しくて
また眩しかった

本当は香りなんてなかったのかな?

本当は香りなんて気のせいだったのかな?

でもあの頃は確かに感じていたんだ

甘い香り

幸せ
幸福

そう その匂いを

でもね
あなたは告げたでしょう

「君とはおしまいにする、婚約は破棄だ」

そんな言葉を

それからはもう
甘い香りはしなくなって
あんなに煌めいていた街も
すっかり色を失ってしまった

ああ もうすべて過ぎ去った

そして消えてしまった

何もかも

もはや幻

甘い香りが漂う街を
二人歩いていたね

楽しい思い出も
綺麗な思い出も

もう遠い過去のものとなったわ
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