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前編
しおりを挟む妹フォレアは自分を美少女だと思っており、また、姉である私を常に見下していた。
「お姉さまに結婚? 無理無理! ぜぇーったいに無理ですわ、そんなこと。だって! お姉さまって地味だし華もないですものっ。そんな状態で無理して結婚しようとしたところで相手してくれる男はどうせくっだらないしょっぼーい男くらいのものですわ!」
フォレアはたびたびそんなことを言ってきていた。
他人に対してそんなことを言うなんてどういうこと……、という感じだが、彼女は平気でそういうことを言える人なのである。
彼女は確かに可愛い容姿の持ち主だ。けれども幼い頃からそれを褒められすぎた。そのせいで彼女はどこか歪んだような残念な性格の持ち主となってしまったのだ。彼女は人格形成に失敗した。彼女は過剰な自信を持つようになり、また、他者を見下すような人になってしまったのである。
「あたくしの婚約者は偉大な貴族のお方ですわ! 類は友を呼ぶと言いますものね! ふふ、彼はあたくしにぴったりなお方ですわ~」
フォレアには婚約者がいる。
彼の名はエンドルシガという。
「お姉さまはずーっと独り身でいれば良いのですわ! そして一人寂しく親の介護でもして生きてゆけばいいんですわよ!」
そんな風にして調子に乗っていたフォレアだったが――。
「ママぁ! 婚約破棄されたぁ! うええええええええん!」
ある日の昼下がり、突然婚約破棄を告げられたようで、泣きながら帰ってきた。
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