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後編
しおりを挟む人は前へ進むしかない生き物だ。
時に過去を振り返り懐かしむことはしても、だからといってその頃に戻れるわけではなくて。
人間自体、時をさかのぼることはできないもの。
それは定めでありこの世の理だ。
だから私も過去へは戻れない! できるのは、未来へ進むことだけ!
◆
あれから数十年が経ち、私はもうすぐ死ぬ。
理由は一つ。
老衰だ。
私は年を重ね過ぎた、この身はもうもたない――ただ、愛せる人と出会い結婚できたし二人の子も生んで育てたし、今では孫もいる――この人生に悔いはない。
私はただ進み続けた。
そして今を手に入れたのだ。
幸せな空間、愛する人、そういったものを。
そうそう、アダムスはというと、とうに死んでしまったようだ。
彼はある時一人の女性に入れ込み過ぎてストーカー化してしまい、その果てに暴力的な組織に入っている女性の父親に目をつけられて、ある日数名の男にぼこぼこにされて亡くなったらしい。
……ま、どうでもいいことだけれど。
◆終わり◆
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