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ある日突然告げられた婚約破棄、それは彼との関係の終わりを告げるものでした。が、結果的には彼と離れることになっていて良かったです。
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婚約者ハパローフクスはある日突然告げてきた。
「お前との婚約だが、破棄とすることとした」
あまりにも突然の宣言。
ただ戸惑うことしかできない。
「え……どうして、ですか? 突然過ぎません?」
「決意は固い」
会話になっていない……。
いや、まぁ、前々からこういうことは時々あった。
ハパローフクスは少し変わった人で、たまに会話がずれてしまうことがあるのだ。
この問いにその答え? みたいなことがたびたび発生するのである。
でもこれまではさほど気にしてこなかった。捉え方や感性は人それぞれだからそういうこともあるのだろう、くらいにしか考えていなかった。いや、もしかしたら、考えないようにしていたのかもしれないが。でも、そこまで気にはならなかった。そういうものだと受け止めていたし。
だが今になってそれが気になってきてしまった……。
どうしても、もやもやしてしまう。
「お前とはもう歩まない」
「そ、そうですか……」
これ以上話しても時間の無駄となりそうだったので、私は彼の宣言したことを受け入れることにした。
嬉しくはない。
捨てられて嬉しいはずがないではないか。
……でも受け入れるしかない。
「お前は贅沢をせず、もっと、つりあった人を選べ」
最後の言葉はそれ。
感じ悪いなぁ、なんて思ってしまう。
私はもう彼を嫌いになってしまった。
◆
婚約破棄から半年が経った頃、ハパローフクスは我が家へやって来た。
「やり直してほしい。そして、その礼に、暮らしへの金銭的支援もしてくれ」
何でもハパローフクスは詐欺師の女に騙され大金を失ったそうで、それによって生活が苦しくなっているそうなのだ。
「お断りします」
……でも同情はしない。
「一度捨てられた女ですよ? 貴方とはつりあわないと思いますので」
「そういうのはいい! 言うことを聞け!」
「それに、私、今もう婚約者がいますから」
「え……」
「ハパローフクスさん、貴方のもとへ戻ることはできません」
婚約者がいる、それは事実である。
ハパローフクスに捨てられてから私は良縁に恵まれたのだ。彼となら幸せに生きてゆける、そう思わせてくれる人と出会い婚約もしている。だから何と言われようともハパローフクスのもとへ戻ることはないし、そもそも戻ることなどできやしないのだ。
「う、嘘をつくな! 調べるぞ!」
「嘘ではないですよ」
「調べるぞ! いいんだな? 絶対調べてやる!」
こんな時は、にっこり笑顔で。
「どうぞ」
信じられないのなら好きにすればいい。
◆
あれから数ヶ月、私は無事結婚でき、幸せへの第一歩を踏み出した。
結婚生活は長い。まだまだ始まったばかりだ。だから、きっと、これから色々なことが起こるだろう。それを乗り越えていってこその夫婦というものである。
でも今は自信がある。
愛する彼となら、夫となら、きっと乗り越えてゆける。
単純な馬鹿も笑われるかもしれないが……本当に、真っ直ぐに、そう思えるのだ。
ちなみにハパローフクスはというと、あの後生活が苦しくて万引きを繰り返していたそうで十一回目に捕まってしまい腕を使えなくする刑に処されてしまったそうだ。
腕の機能を失ったのは気の毒だが、やっていたことがやっていたことなので、まぁ普通に考えて自業自得である。
◆終わり◆
「お前との婚約だが、破棄とすることとした」
あまりにも突然の宣言。
ただ戸惑うことしかできない。
「え……どうして、ですか? 突然過ぎません?」
「決意は固い」
会話になっていない……。
いや、まぁ、前々からこういうことは時々あった。
ハパローフクスは少し変わった人で、たまに会話がずれてしまうことがあるのだ。
この問いにその答え? みたいなことがたびたび発生するのである。
でもこれまではさほど気にしてこなかった。捉え方や感性は人それぞれだからそういうこともあるのだろう、くらいにしか考えていなかった。いや、もしかしたら、考えないようにしていたのかもしれないが。でも、そこまで気にはならなかった。そういうものだと受け止めていたし。
だが今になってそれが気になってきてしまった……。
どうしても、もやもやしてしまう。
「お前とはもう歩まない」
「そ、そうですか……」
これ以上話しても時間の無駄となりそうだったので、私は彼の宣言したことを受け入れることにした。
嬉しくはない。
捨てられて嬉しいはずがないではないか。
……でも受け入れるしかない。
「お前は贅沢をせず、もっと、つりあった人を選べ」
最後の言葉はそれ。
感じ悪いなぁ、なんて思ってしまう。
私はもう彼を嫌いになってしまった。
◆
婚約破棄から半年が経った頃、ハパローフクスは我が家へやって来た。
「やり直してほしい。そして、その礼に、暮らしへの金銭的支援もしてくれ」
何でもハパローフクスは詐欺師の女に騙され大金を失ったそうで、それによって生活が苦しくなっているそうなのだ。
「お断りします」
……でも同情はしない。
「一度捨てられた女ですよ? 貴方とはつりあわないと思いますので」
「そういうのはいい! 言うことを聞け!」
「それに、私、今もう婚約者がいますから」
「え……」
「ハパローフクスさん、貴方のもとへ戻ることはできません」
婚約者がいる、それは事実である。
ハパローフクスに捨てられてから私は良縁に恵まれたのだ。彼となら幸せに生きてゆける、そう思わせてくれる人と出会い婚約もしている。だから何と言われようともハパローフクスのもとへ戻ることはないし、そもそも戻ることなどできやしないのだ。
「う、嘘をつくな! 調べるぞ!」
「嘘ではないですよ」
「調べるぞ! いいんだな? 絶対調べてやる!」
こんな時は、にっこり笑顔で。
「どうぞ」
信じられないのなら好きにすればいい。
◆
あれから数ヶ月、私は無事結婚でき、幸せへの第一歩を踏み出した。
結婚生活は長い。まだまだ始まったばかりだ。だから、きっと、これから色々なことが起こるだろう。それを乗り越えていってこその夫婦というものである。
でも今は自信がある。
愛する彼となら、夫となら、きっと乗り越えてゆける。
単純な馬鹿も笑われるかもしれないが……本当に、真っ直ぐに、そう思えるのだ。
ちなみにハパローフクスはというと、あの後生活が苦しくて万引きを繰り返していたそうで十一回目に捕まってしまい腕を使えなくする刑に処されてしまったそうだ。
腕の機能を失ったのは気の毒だが、やっていたことがやっていたことなので、まぁ普通に考えて自業自得である。
◆終わり◆
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