異世界恋愛作品集 ~さくっと読める!? 大変なことやややこしいことがあっても乗り越えて幸せを掴みます~

四季

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魅力も価値もない、そんなことを言われ婚約破棄されてしまったのですが……? ~奇跡的な展開が待っていました~

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 貴様には魅力などない。
 女としての価値など一切ない。

 よって、婚約は破棄とする。

 ――そんなことを、長い金髪が特徴的な婚約者ヴェルフィリーズに告げられた日の翌日。

「いやはや、もう、神やわ。惚れてしもてん。生涯を共にしてくれへん? 一生大事にするから、どうやろ?」

 西の国の王子ローロクより求められてしまった。

「え……? いや、あの、どういうことです……?」
「愛してしもてん」
「あ、ああ……そうですか……で、でも、その……すみません、今、かなり戸惑っています」
「こっちのことが嫌やから?」
「いえ! そうではありません! そんな失礼なこと!」
「ほんま? なら良かったわ。ふぅ~。もしかしたら見た目が無理やったんかな? て、思て」

 想定外の展開に戸惑ったけれど。

「考えてみてくれへん?」
「あ、はい」
「ほんま!? 考えてくれるん!?」
「はい」
「いやっほぉーい!!」

 どうやらローロクは本気で私との未来を考えているようで。

「でも、私で良いのですか? 間違いではないのですか?」
「何言うてんねん! 間違うわけないやん、ほんまおもろい女性やわ~」

 だから私も彼との未来を考えてみることにした。

 どうせヴェルフィリーズとは終わってしまったのだ、これはこれで良い機会かもしれない。

 こうして私はローロクとの未来へと歩き出す。


 ◆


「ほな、これからよろしく!」
「こちらこそ」

 今日は特別な日。
 王子ローロクとの結婚式である。

 緊張して、固くなって、朝から胸元が少々痛かった。

「んもーっ、もっとのびのびしてていいんやで!?」
「お気遣いありがとうございます」
「いやはやおかしいやん! まぁ、ええけどな。素晴らしい女性なんやから、堂々として、ありのままでいいんやで」

 でもローロクが気にかけてくれるから段々緊張もほぐれていって。

「ま、まったりいこ!」
「そうですね」

 式が近づく頃になって、ようやく、迷いなくありのままの私で前を向けるようになってきた。

 ちなみにヴェルフィリーズはというと、あの後少しして屋敷の階段から転落し頭を強打して死んでしまったそうだ。

 転落しただけなら死にはしなかったかもしれない。でも打ち所が悪かったのだ。だからこそ不幸にも死に至ってしまったのだろう。

 ま、冷静に考えて、頭部を強く打てば死んでしまってもおかしくはない。

 あまりにもあっさりした最期であったようだ。


◆終わり◆
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