最悪妹が婚約者候補として紹介してきた男性に惚れられました!? ~こうなったらもう突き進みます~

四季

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 でも諦めていた。

 何か言ったとしても、どうせ信じてもらえない――そう思って。

 私はもう誰にも愛されないのだ。
 そう思って。
 憂鬱だけれどそれなりには生きた。

 そんなある日、ネーナに婚約者候補ができた。

 聞いた話によれば、良家の子息であり、自身も精力的に働き事業を発展させている人らしい。美男子で、能力は高く、人当たりも悪くはない。皆から理想の男性と言われている人だそうだ。

「お姉様! 彼がオッドレスさんですわ! 素晴らしい殿方でしょう? あたくしに相応しい方と思いますの~」
「ええそうね……」
「でしょう? うふふ、ま、精々羨んでおくことですわね」
「ふふ、まさか」
「またまたぁ~、悔しいのは我慢しなくていいんですのよ? ね? お姉様っ」

 だがその時には既に事は進展していた。

 後日、オッドレスから私へ連絡があり、彼は「貴女と結ばれたいと思い連絡してみました」と言ってきた。

 このことを知られたらネーナにどんな嫌がらせをされるか……。

 考えるだけでも恐ろしい。

 だから私は断った。
 ネーナに酷い目に遭わされそうだから、ということも、きちんと乗せたうえで。
 しかし彼は下がらなかった。
 彼女から守るから、と言って、それでもう一度考えてみてほしいと言ってきた。

「どうしてそんなに……?」
「あの時、妹さんに嫌みのようなことを言われてもなお冷静に広い心で対処していた貴女を見て、素晴らしい方だと思ったのです。人格者だ、と、尊敬しました。それで、できることなら、妹さんではなく貴女と共に人生を歩みたいと思ったのです」

 その後長い説得を経て、私は彼と道を行くことを決意した。

「はぁ!? お姉様が!? オッドレスさんと!?」
「ええ、そうなったの」

 ネーナに告げる日、オッドレスはついてきてくれた。
 一人でなくてもそれでも怖かった。
 けれども、彼がこうして傍にいてくれて、ほんの少しは気が楽になっているような気はしていた。

「この泥棒猫!! 許せませんわ!!」
「ネーナさん、これは、お姉さんが奪ったのではありません。それに……そもそもまだ婚約はしておらず婚約者候補です。なので、婚約破棄でも何でもありません」
「っ……オッドレスさん、どうして……ですの……?」
「それに。貴女のようなお姉さんにまで心ないことをする女性とは共には行けませんので」

 オッドレスは淡々としていた。
 彼はネーナに対して優しい表情は向けていない。
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