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前編
しおりを挟む「お前との婚約は破棄だ! お前とは生きない、消えてくれ!」
今日、ちょうど一時間ほど前、婚約者レヴォスから関係の解消を宣言された。
少しは抵抗してみた。粘ってみた。どうにかならないか、と思って。しかし上手くいかず。まったく聞いてもらえず、追い出されてしまった。
あそこまではっきり追い出されてしまったなら仕方ない。
そう思い彼の前から去った。
だって、あれ以上粘ったらもっと嫌われそうだろう?
彼の中で穢れられるだけ穢れて消えるのは嫌だった。
「……あ」
刹那、私は深い穴に落ちた。
「うわああああ!」
足もとをきっちり見ずに歩いていたのが悪い、と思いつつも、どうしようかと考えて心が重くなるのを感じる。
「どうしよう……出られない……」
何もできそうになくて困り果てていると。
「大丈夫ですか!?」
上から声が降ってきた。
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