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前編
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獣人族の血を引く私アリゾナは。
「貴様はやはり野蛮だ。すぐに暴れるし。よって、婚約は破棄とする!」
新興領主の家の子息である婚約者ククロよりそんなことを告げられてしまう。
あまりにも突然の宣言。
しかもその理由が野蛮だなんて暴れるからだなんて――そんなものは真っ赤な嘘である――それゆえなおさらショックは大きかった。
「野蛮、って……すぐ暴れる、って……それは一体どういうことですか」
「事実だろうが」
「私は暴れていたでしょうか?」
「そう見えるんだよ、お淑やかな女性が好みな俺からすれば」
心当たりはないのだが、ククロからすれば私は野蛮な女のようだ。
どういうことかはよく分からないが。
「貴様は獣人の血を引いているだろう」
「はい、それはそうですが……」
「そういうところだよ。そういうところが野蛮さを醸し出しているんだ」
何それ?
そんな根本的なところから私という人間を否定するの?
いやいや、それはおかしいだろう。
何を今さら。
私が獣人の血を引いていることなんてずっと前から知っていたではないか。それが嫌なのならどうして私と婚約したのか。血などどうあがいても変わることのないものなのに。それが気に食わないのなら最初から特別な契約など結ばなければ良かったのだ。そうすれば婚約破棄なんてややこしい話も発生しなかった。
とにかく、後になって文句を言うなどおかしな話だ。
「ま、なんにせよ。アリゾナ、貴様とやっていくのはもう無理なんだ」
「えええ……」
「何だその態度は!」
「いえ、ただ、驚いてしまったのです」
「は?」
「そんなことが理由だなんて、と」
「ああ!? 何が言いたい!? 喧嘩売ってるのか!!」
「そういうことではないですが……」
「じゃあ何なんだよ!」
「血など以前からご存知だったはずです。でも今になってそのようなことを問題視するなんて、少々不自然な話だな、と」
そこまで言うと、ククロは怒ってしまった。
そうして私たちの関係は終わりを迎えた。
もう何もかも手遅れであった。
ここまで来てしまったら関係修復など不可能だったのだ。
「貴様はやはり野蛮だ。すぐに暴れるし。よって、婚約は破棄とする!」
新興領主の家の子息である婚約者ククロよりそんなことを告げられてしまう。
あまりにも突然の宣言。
しかもその理由が野蛮だなんて暴れるからだなんて――そんなものは真っ赤な嘘である――それゆえなおさらショックは大きかった。
「野蛮、って……すぐ暴れる、って……それは一体どういうことですか」
「事実だろうが」
「私は暴れていたでしょうか?」
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心当たりはないのだが、ククロからすれば私は野蛮な女のようだ。
どういうことかはよく分からないが。
「貴様は獣人の血を引いているだろう」
「はい、それはそうですが……」
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何それ?
そんな根本的なところから私という人間を否定するの?
いやいや、それはおかしいだろう。
何を今さら。
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「じゃあ何なんだよ!」
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