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7.朝食振る舞い
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小さな小屋でジルカスとの奇妙な共同生活が始まった。
日本に帰りたい。でもそれは不可能なのだと悟ったから、すぐに日本へ帰ろうと考えるのは一旦止めておくことにした。できもしないことを色々考えても無駄だからだ。
「ははは! 朝だぞ!」
ジルカスは早朝から元気だ。
彼の老人のような目覚めにつられ、私まで早起きしてしまった。
「おはようございます。……早いですね」
昨夜、私は彼と別の部屋で寝た。奥の部屋——寝室には、ベッドが一つしか置かれていなかったからである。同じベッドで眠るなど論外だし、せっかく二部屋あるのだから別々の方が良いと考え、結果私は床で寝るはめになった。そのせいか若干腰が痛い。もっとも、一緒に寝るよりかは腰が痛い方がずっとましだが。
「早速朝食としよう!」
「え……いきなりですか……」
起きるなり朝食はさすがに早すぎやしないだろうか。
まだ食事できるような状態ではない。
「朝一番の良い食事が一日のクオリティを高めるからな! ははは!」
ジルカスは腹の底から大声を出しながら、奥の部屋へ向かう。そして、数十秒ほどして、テーブルや椅子のあるリビング的な役割の部屋へ戻ってくる。
猫の模様のエプロンを着用していた。
信じられないダサさ。
「どうだ! 似合うか!? 新調したエプロン!!」
新調したんだ……、と言いそうになったのを、私は何とか堪えた。
しかし、新調するならもう少し無難なものにすれば良かったのではないだろうか。こんな可愛い系のものを選ぶ必要はなかったはず。
「これで早速、朝食作りだ!」
「あ。もし良ければ手伝いますよ」
「いや、今日はいい! また今度力を貸してくれ!!」
いちいち大きな声で煩くて仕方がないが、一応「分かりました」と返しておいた。
◆
テーブル近くの椅子に腰掛け、待つこと数十分。
ジルカスが皿を持って部屋に現れた。
キッチンはなぜか寝室にある。それゆえ、キッチンで作ったものはすべて奥の部屋から手前の部屋へ運んでこなくてはならない。
「ははは! 特製ハーブづくしだぞ!」
「……ハーブ? 薬物ですか?」
「薬物、だと。何だそれは。ハーブはハーブ、植物だ」
言いながら、ジルカスは丸い皿をテーブルに置く。
綺麗な円形の皿に乗っていたのは、キノコ。片手だと一つしか握れそうにないくらい大きなキノコを半分に切ったものが、豪快にいくつも並んでいる。キノコの上には茶色のソースがかかっていて、葉っぱと思われる緑の欠片が散りばめられていた。
「キノコ、美味しそうですね」
「ははは! 我が手料理は上手いぞ! 常に、な!」
ジルカスは自信満々でそんなことを言う。
彼は、料理が上手いと自負しているようだ。
「そしてこれはスープだ!」
「……これもキノコですね」
もう一方の手に持っていたのは、十センチほど深さのある器。
九分目辺りまで栗色の汁が注がれていて、具は様々なキノコが入っている。見たことのない奇抜な形のキノコもあるが、これらは果たして食用なのだろうか。若干不安だったりする。
「妻との最初の朝にはキノコ料理を味わうと決めていたのだ! 十二年前からな! ははは!」
何があったんだ、十二年前。
「キノコがお好きなんですか?」
「普通だな」
「……べつにキノコ好きなわけではないんですね」
しかし、用意される料理たちは、恐ろしいほどキノコに満ちている。まだ二品しか出てきていないが、食べる前から「もう無理」と言いたくなるほどキノコだらけだ。続けてまだキノコが出てくることを想像したら、食欲が減退しそう。
日本に帰りたい。でもそれは不可能なのだと悟ったから、すぐに日本へ帰ろうと考えるのは一旦止めておくことにした。できもしないことを色々考えても無駄だからだ。
「ははは! 朝だぞ!」
ジルカスは早朝から元気だ。
彼の老人のような目覚めにつられ、私まで早起きしてしまった。
「おはようございます。……早いですね」
昨夜、私は彼と別の部屋で寝た。奥の部屋——寝室には、ベッドが一つしか置かれていなかったからである。同じベッドで眠るなど論外だし、せっかく二部屋あるのだから別々の方が良いと考え、結果私は床で寝るはめになった。そのせいか若干腰が痛い。もっとも、一緒に寝るよりかは腰が痛い方がずっとましだが。
「早速朝食としよう!」
「え……いきなりですか……」
起きるなり朝食はさすがに早すぎやしないだろうか。
まだ食事できるような状態ではない。
「朝一番の良い食事が一日のクオリティを高めるからな! ははは!」
ジルカスは腹の底から大声を出しながら、奥の部屋へ向かう。そして、数十秒ほどして、テーブルや椅子のあるリビング的な役割の部屋へ戻ってくる。
猫の模様のエプロンを着用していた。
信じられないダサさ。
「どうだ! 似合うか!? 新調したエプロン!!」
新調したんだ……、と言いそうになったのを、私は何とか堪えた。
しかし、新調するならもう少し無難なものにすれば良かったのではないだろうか。こんな可愛い系のものを選ぶ必要はなかったはず。
「これで早速、朝食作りだ!」
「あ。もし良ければ手伝いますよ」
「いや、今日はいい! また今度力を貸してくれ!!」
いちいち大きな声で煩くて仕方がないが、一応「分かりました」と返しておいた。
◆
テーブル近くの椅子に腰掛け、待つこと数十分。
ジルカスが皿を持って部屋に現れた。
キッチンはなぜか寝室にある。それゆえ、キッチンで作ったものはすべて奥の部屋から手前の部屋へ運んでこなくてはならない。
「ははは! 特製ハーブづくしだぞ!」
「……ハーブ? 薬物ですか?」
「薬物、だと。何だそれは。ハーブはハーブ、植物だ」
言いながら、ジルカスは丸い皿をテーブルに置く。
綺麗な円形の皿に乗っていたのは、キノコ。片手だと一つしか握れそうにないくらい大きなキノコを半分に切ったものが、豪快にいくつも並んでいる。キノコの上には茶色のソースがかかっていて、葉っぱと思われる緑の欠片が散りばめられていた。
「キノコ、美味しそうですね」
「ははは! 我が手料理は上手いぞ! 常に、な!」
ジルカスは自信満々でそんなことを言う。
彼は、料理が上手いと自負しているようだ。
「そしてこれはスープだ!」
「……これもキノコですね」
もう一方の手に持っていたのは、十センチほど深さのある器。
九分目辺りまで栗色の汁が注がれていて、具は様々なキノコが入っている。見たことのない奇抜な形のキノコもあるが、これらは果たして食用なのだろうか。若干不安だったりする。
「妻との最初の朝にはキノコ料理を味わうと決めていたのだ! 十二年前からな! ははは!」
何があったんだ、十二年前。
「キノコがお好きなんですか?」
「普通だな」
「……べつにキノコ好きなわけではないんですね」
しかし、用意される料理たちは、恐ろしいほどキノコに満ちている。まだ二品しか出てきていないが、食べる前から「もう無理」と言いたくなるほどキノコだらけだ。続けてまだキノコが出てくることを想像したら、食欲が減退しそう。
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