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前編
しおりを挟むその日、婚約者アボカスは、突如私を呼び出してきた。
言われた通り彼の家へ行くと。
そこにはアボカスとその妹であるアボリナがいた。
「来たな」
「はい」
「今日は話がある。重要な話だ」
「重要な……何でしょうか?」
嫌な予感しかしないが、取り敢えず聞いてみよう。
「お前、陰でアボリナを虐めていたそうだな」
「えっ」
「そんな悪女だとは思わなかった。よって、お前との婚約は破棄とする」
「な、何ですかそれ。待ってください。そんなこと、知りません。私ではないと思います、きっと何かの勘違いです」
するとアボカスは睨んでくる。
「この期に及んでまだ嘘をつくのか? とことん悪女だな」
「違います! 嘘ではありません! 私は何もしていないのです!」
「うるさい!! ……それはアボリナの発言が嘘と言っているようなもの、失礼だ」
「しかし、私は虐めていません」
するとアボリナが言う。
「お兄様! 騙されては駄目よ! この女、酷いの。私のドレスを破いたり、私の飲み物に毒を入れようとしたり、わざわざ二人きりになる状況を作って暴言を吐き続けてきたりするのよ。この女、最悪だわ! お兄様! 嘘つき女に騙されないで!」
なぜ?
どうして私が悪者なの?
してもいないことをしたことにされるなんて、許せない。
「ほら、アボリナがそう言っている。彼女は絶対に嘘なんてつかないんだ。ということだから、いい加減罪を認めろ」
「それはできません! 私は何もしていませんので」
「ま、なんにせよ、婚約は破棄――それはもう変わらないから。じゃあな、嘘つき虐め最悪女」
こうして私は捨てられることとなってしまった。
何もしていないのにどうして……。
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