消えてくださらないかしら、と言いつつ、刃物を突きつけ――しかも本当に刺してくるなんて、意味不明です。

四季

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後編

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 ◆


 フィオレに刺された私だったが、幸い通行人が見つけてくれたため、死なずに済んだ。

 話を聞いた両親は怒った。
 特に父親は。
 血圧が上がり過ぎて危ないくらい、荒れ狂う火山のように怒っていた。

「娘に手を出しやがって……絶対に許さない!」


 ◆


 数日後、フィオレが亡骸で発見されたという話を聞いた。
 彼女は買い物と行って出掛けたきり戻らず。
 親が探したところ、ある路地裏で亡くなっているのが発見されたそうだ。

 何があったのか――確信はないけれど、なんとなくは察した。

 恐らく、父親がそういう依頼を出したのだろう。

 依頼を出して他者を消す、という話は、時折耳にする。それゆえ、この国においてはあり得ないことではない。他国ではどうか知らないけれど、この国では特別驚かれるようなことでもないのだ。

 しかしその数日後。

「ごめん、婚約は破棄するよ……」
「どうして」
「大切な人にちょっとあってさ……結婚なんて考えられないんだ、だから……ごめんな、じゃあ」

 私はリエンから婚約破棄を告げられた。

 やはりフィオレのことだろうか?
 いやきっとそうだろう。
 間違いなくそうだろう。

 でも――きっと私たちはもう無理なのだ。

 ならば潔く諦めて離れよう。

「そうね、さようなら、リエン」


 ◆


 あれから四年、私は貴重な資源の販売で大金持ちになった家の子息と結婚し、穏やかな暮らしを手に入れることができた。

 一方リエンはというと、国王の親戚の女性と仲良くなって婚約するも他の女と遊んでいたことがばれてしまったらしく――女性に婚約破棄を告げられたうえ、十年以上奴隷として無賃金で働かされる刑に処されたそうだ。


◆終わり◆
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