貴方の愛など要りません。なぜなら、貴方が人をまともに愛せない人だと知っているからです。

四季

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前編

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 私、フロレシアは、生まれ育った国の王子であるカイツと婚約している。

 しかしカイツには愛がないと私は知っている。
 彼は私のことを一切愛していないし、そもそも愛そうとも思っていない様子。

 それに、彼はどうやら、人をまともに愛することはできない性質のようなのだ。

 彼は女性の友人は多く、その中には夜のお供とも言えるような関係の女性もいる。距離が近い女性には二人になると「好きだ」「可愛い」「愛してる」などと言うようなのだが、そのわりに毎晩違う女性と遊んでいるし、誰かを特別大切にしている様子はない。

 彼にとって女性とは遊ぶ道具のようなものなのだろう。

「フロレシア! 俺は決めたぞ。お前との婚約を破棄する!」

 ある日の夕暮れ、彼は城内に設置されている私の部屋へやって来た。

「急ですね……」
「聞いたか? 俺は決意したんだ! お前と生きる未来なんぞ変えてやる!」
「それは……既に決定したことなのですか?」
「もちろん! 王子の俺がそう言えばそうなるんだ!」

 めちゃくちゃな理論だ。
 でもこれまではそうだったのかもしれない。

「そうですか……なぜですか?」
「お前は俺が誘ってやっても夜の遊びに付き合わないだろう? それはつまり、俺が嫌いということなのだろう。だからお前の望みを叶えてやることにしたんだ。それに、俺もそんな女といるのは不愉快だしな」

 そういうこと、か。

 確かに私は以前彼との夜の関わりを拒んだ。
 でもそれは彼が嫌いだったからではない。
 まだ婚約者の身でそのようなことにまで進むのはやり過ぎだと思ったのだ。

 一種の配慮だった。

 あの時一応説明したのだが、意味はきちんと伝わっていないようだ。
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