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後編
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カイツにとっては夜の遊びだけが関係性の指標なのか。
きっと彼はそれしか知らないのだろう。
でも私には一から人間関係というものを教える義務はない。
「では私は失礼しますね」
「あぁそうしてくれ」
荷物をまとめ、その後、城を出た。
愛することのできない人に愛は求めない。
いや、それ以前としても。
そういう人と正常な関係を築いてゆくのは無理だろう。
◆
朝に城を出た私はどこへ行こうかと考えて。
でも行けそうな場所はなくて困る。
実家へ帰るのも気まずい、口うるさい母がいるから。
かといって他に駆け込める場所があるわけでもない。
そんな時、私は市場で偶然一人の青年ルオと知り合う。
「今日は買い物ですか」
「そうなんです。貴方も?」
彼はどうやら私のことを知らないらしい。
「あぁいえ、そうなようでそうでもないんです。見学と言いますか……」
旅人かな?
「あの、よければ明日もこの辺りを紹介していただけませんか?」
「はい。……あ、でも、私もそこまで詳しくないですけど」
それからもルオと少し喋って、夜が来る頃に別れた。
彼は「今日付き合ってくれたお礼です」と言ってお金をくれたので、近くの宿に泊まることができた。
◆
あれから三年、私はルオの妻となっている。
これは出会った頃は知らなかったことなのだが、ルオは隣国の王子だった。もっとも、三人兄弟の末っ子で、今のところ王位を継ぐ予定はないようなのだが。
つまり、私は王子の妻となったのだ。
そして、最近隣国へ遊びに来た昔の友人から聞いたのだが。
カイツは真実を知った父親に「勝手に婚約破棄なんぞしおって」と怒られ、大喧嘩になったことで、最終的には勘当を言い渡されてしまったそうだ。
王子だったということ以外何の取り柄もないカイツがいきなり一般社会に放り出されても何かできるはずもなく。
今はまだ少しだけある貯金の一部で食いつないでいるらしい。
ただ、その貯金ももうそろそろ尽きそうだという話。
その後彼がどうなるのかは知らないけれど、噂によれば、最近彼の周りに裏社会の怪しい人物たちが寄っていっているらしい。
◆終わり◆
きっと彼はそれしか知らないのだろう。
でも私には一から人間関係というものを教える義務はない。
「では私は失礼しますね」
「あぁそうしてくれ」
荷物をまとめ、その後、城を出た。
愛することのできない人に愛は求めない。
いや、それ以前としても。
そういう人と正常な関係を築いてゆくのは無理だろう。
◆
朝に城を出た私はどこへ行こうかと考えて。
でも行けそうな場所はなくて困る。
実家へ帰るのも気まずい、口うるさい母がいるから。
かといって他に駆け込める場所があるわけでもない。
そんな時、私は市場で偶然一人の青年ルオと知り合う。
「今日は買い物ですか」
「そうなんです。貴方も?」
彼はどうやら私のことを知らないらしい。
「あぁいえ、そうなようでそうでもないんです。見学と言いますか……」
旅人かな?
「あの、よければ明日もこの辺りを紹介していただけませんか?」
「はい。……あ、でも、私もそこまで詳しくないですけど」
それからもルオと少し喋って、夜が来る頃に別れた。
彼は「今日付き合ってくれたお礼です」と言ってお金をくれたので、近くの宿に泊まることができた。
◆
あれから三年、私はルオの妻となっている。
これは出会った頃は知らなかったことなのだが、ルオは隣国の王子だった。もっとも、三人兄弟の末っ子で、今のところ王位を継ぐ予定はないようなのだが。
つまり、私は王子の妻となったのだ。
そして、最近隣国へ遊びに来た昔の友人から聞いたのだが。
カイツは真実を知った父親に「勝手に婚約破棄なんぞしおって」と怒られ、大喧嘩になったことで、最終的には勘当を言い渡されてしまったそうだ。
王子だったということ以外何の取り柄もないカイツがいきなり一般社会に放り出されても何かできるはずもなく。
今はまだ少しだけある貯金の一部で食いつないでいるらしい。
ただ、その貯金ももうそろそろ尽きそうだという話。
その後彼がどうなるのかは知らないけれど、噂によれば、最近彼の周りに裏社会の怪しい人物たちが寄っていっているらしい。
◆終わり◆
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