貴方の愛など要りません。なぜなら、貴方が人をまともに愛せない人だと知っているからです。

四季

文字の大きさ
2 / 2

後編

しおりを挟む
 カイツにとっては夜の遊びだけが関係性の指標なのか。
 きっと彼はそれしか知らないのだろう。
 でも私には一から人間関係というものを教える義務はない。

「では私は失礼しますね」
「あぁそうしてくれ」

 荷物をまとめ、その後、城を出た。

 愛することのできない人に愛は求めない。
 いや、それ以前としても。
 そういう人と正常な関係を築いてゆくのは無理だろう。


 ◆


 朝に城を出た私はどこへ行こうかと考えて。
 でも行けそうな場所はなくて困る。

 実家へ帰るのも気まずい、口うるさい母がいるから。

 かといって他に駆け込める場所があるわけでもない。

 そんな時、私は市場で偶然一人の青年ルオと知り合う。

「今日は買い物ですか」
「そうなんです。貴方も?」

 彼はどうやら私のことを知らないらしい。

「あぁいえ、そうなようでそうでもないんです。見学と言いますか……」

 旅人かな?

「あの、よければ明日もこの辺りを紹介していただけませんか?」
「はい。……あ、でも、私もそこまで詳しくないですけど」

 それからもルオと少し喋って、夜が来る頃に別れた。

 彼は「今日付き合ってくれたお礼です」と言ってお金をくれたので、近くの宿に泊まることができた。


 ◆


 あれから三年、私はルオの妻となっている。

 これは出会った頃は知らなかったことなのだが、ルオは隣国の王子だった。もっとも、三人兄弟の末っ子で、今のところ王位を継ぐ予定はないようなのだが。

 つまり、私は王子の妻となったのだ。

 そして、最近隣国へ遊びに来た昔の友人から聞いたのだが。

 カイツは真実を知った父親に「勝手に婚約破棄なんぞしおって」と怒られ、大喧嘩になったことで、最終的には勘当を言い渡されてしまったそうだ。

 王子だったということ以外何の取り柄もないカイツがいきなり一般社会に放り出されても何かできるはずもなく。

 今はまだ少しだけある貯金の一部で食いつないでいるらしい。
 ただ、その貯金ももうそろそろ尽きそうだという話。

 その後彼がどうなるのかは知らないけれど、噂によれば、最近彼の周りに裏社会の怪しい人物たちが寄っていっているらしい。


◆終わり◆
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

貴方なんて大嫌い

ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い

逃した番は他国に嫁ぐ

基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」 婚約者との茶会。 和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。 獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。 だから、グリシアも頷いた。 「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」 グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。 こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

妻よりも幼馴染が大事? なら、家と慰謝料はいただきます

佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢セリーヌは、隣国の王子ブラッドと政略結婚を果たし、幼い娘クロエを授かる。結婚後は夫の王領の離宮で暮らし、義王家とも程よい関係を保ち、領民に親しまれながら穏やかな日々を送っていた。 しかし数ヶ月前、ブラッドの幼馴染である伯爵令嬢エミリーが離縁され、娘アリスを連れて実家に戻ってきた。元は豊かな家柄だが、母子は生活に困っていた。 ブラッドは「昔から家族同然だ」として、エミリー母子を城に招き、衣装や馬車を手配し、催しにも同席させ、クロエとアリスを遊ばせるように勧めた。 セリーヌは王太子妃として堪えようとしたが、だんだんと不満が高まる。

もう、振り回されるのは終わりです!

こもろう
恋愛
新しい恋人のフランシスを連れた婚約者のエルドレッド王子から、婚約破棄を大々的に告げられる侯爵令嬢のアリシア。 「もう、振り回されるのはうんざりです!」 そう叫んでしまったアリシアの真実とその後の話。

恩知らずの婚約破棄とその顛末

みっちぇる。
恋愛
シェリスは婚約者であったジェスに婚約解消を告げられる。 それも、婚約披露宴の前日に。 さらに婚約披露宴はパートナーを変えてそのまま開催予定だという! 家族の支えもあり、婚約披露宴に招待客として参加するシェリスだが…… 好奇にさらされる彼女を助けた人は。 前後編+おまけ、執筆済みです。 【続編開始しました】 執筆しながらの更新ですので、のんびりお待ちいただけると嬉しいです。 矛盾が出たら修正するので、その時はお知らせいたします。

処理中です...