何でもなかった貴女が

四季

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何でもなかった貴女が

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何でもなかった貴女が
いつからか特別になった

その境界線を越えたのはいつか

もう記憶がない

何も知らずにいた私を

何も持たずにいた私を

光の下へと連れ出した
その女性ひとが貴女だった

幼き日に生まれた憎しみ
それを刃とはせず
光の果てへと飛び続ける
月を目指す蝶のように


何でもなかった貴女が
いつからか特別になった

その境界線を越えたのがいつなのか

覚えていない

何も得られずにいた私を

何もできずにいた私を

陽の下へ連れ出した
その女性ひとが貴女だった

手を取り微笑む貴女を
愛おしいと感じるたび
薄暗い気持ちに苛まれ
いつかの日が恐ろしい


もしいつか離れる時が来たら
どうすれば良いのか

共に在る時すら
胸の内は穏やかにならず

もしいつか別れる日が来たら
どうすれば良いのか

考えてしまうから
そのたびに胸が痛む


貴女は蝶 貴女は花 けれども私は何にもなれず


ただ
の迷宮に迷い込むだけ
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