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後編

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 ◆


「オッズ・ア・クロフトネイン、処刑完了しました」
「あらありがとう、報告お疲れ様」

 あの事件から三日。
 その報告はついに来た。

「最期、何か言っていた?」

 毎回そういうことを聞くわけじゃない。
 でも今回だけは気になった。
 恐ろしいまでの行動力を持った彼の最期の言葉。

「はい。『なんで俺を愛さないんだ! 物分かりの悪い王女!』などと、無礼なことを叫んでおりました」
「そう……相変わらずね……」

 やはり彼は反省しなかったようだ。

 もし処刑されず生きていたとしても、きっと反省することはなかっただろう――最期の言葉を聞けば簡単に分かった。

「ええ、無礼にもほどがあります。それだけでも処刑なくらいですよ! 本当に! 何と無礼な!」
「まぁまぁ落ち着いて」
「……はい」
「ありがとう、下がっていいわ」
「承知いたしました」

 オッズはこれで消えた。
 彼はもう二度とこの世の空気を吸うことはない。


 ◆


 あれから数年、私は、城内警備隊の中で最も優秀だった青年と結ばれた。

 この結婚は国王である父が決めたもの。ある意味、強制的なものとも言えるだろう。しかし彼は私と結ばれることを嫌がってはいないようで。むしろ喜んでくれているような雰囲気すらあった。

 私も彼と結ばれることができて嬉しい。

 信頼できる人と歩めること、それが一番素敵なことだと思う。


◆終わり◆
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