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前編
しおりを挟む「聖女マリフィア、君との婚約は破棄とする!!」
婚約者でこの国の王子でもある彼モットレットはお気に入りの侍女を庇うように立ちながら宣言する。
「侍女を虐めるような卑怯な女は今すぐこの城から去れ!!」
彼はかっこつけてそんなことを言うけれど――良いのだろうか、国の平穏を護る聖女である私に対してそんな態度を取って――私が消えたなら平穏が保たれる保証も消えてしまうというのに。
それに、そもそも私が侍女を虐めたというのも、本人が主張しているだけの真っ赤な嘘だ。
彼女はモットレットに構ってもらうためにそんなことを言った、ただそれだけ。
なのにそれを信じきってしまうなんて、王子としては不適格な騙されやすさではないだろうか。
「何をもたもたしている。さっさと出ていけ、姿を消せ。今すぐ去れ!!」
モットレットは斜め後ろに隠れるように立っている侍女の片手を握りながら命令してくる。
私は仕方がないので「分かりました、では去ります」とだけ言って城から出ていくことにした。
そうして私が城から出た直後、他国が放った魔道弾ミサイルが城に命中――王子モットレットも、彼に構ってもらっていた侍女も、皆この世から消え去ることとなってしまったのだった。
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