婚約破棄され泣きながら帰宅している途中で落命してしまったのですが、待ち受けていた運命は思いもよらぬもので……?

四季

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12話「怒らず言いたいことを言えばいいのに」

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 妖精族の高貴な娘ラララ・シフォン・ティアラーンとして生まれた私は、親が決めた同じ妖精族の青年スオカ・ガーランドと婚約した。
 親が決めた婚約ではあったのだけれど、二人の仲は悪くはなくて。それなりに上手くいっていた。私は年上の彼を尊敬していたし、彼も年下の私を可愛がってくれていて。なんだかんだで良い関係を築くことができている二人だった。

 ――けれどもそれはスオカの浮気によって終わりを迎える。

「アンタがラララ・シフォン・ティアラーンね?」
「ええと、貴女は……」
「アタシの名はリリアニカ。ま、名乗る必要なんてないでしょうけれど。はっきり言うわ、アタシ、スオカと愛し合っているの」

 想定外の言葉を投げられて全身に衝撃が走る。

「アンタ、彼の婚約者なんでしょ? でもね、アンタ、本当の意味では愛されていないわよ。気づいているの?」
「いえ……」
「あーっはっははは! やっぱりね! 騙されてるんだ。もしかして、自分はスオカに愛されてるとか思ってた? あーっはっははは! そう! そうよね! そんなことだろうと思ったわ! ……あー、おもしろ」

 スオカが裏切っていたなんて信じたくない。

 でも、これは多分、きっと……。

「とにかくさ? もうアンタは愛されてないんだから。とっとと消えてくれない? スオカと生きていくのはアタシだから!」
「そのようなこと、いきなり言われましても……」
「は? 何その態度。ウザすぎ。愛されてないアンタみたいなのは要らないんだって! スオカにとっても必要なのはアタシだけなんだって! まっだ分かんないの?」

 リリアニカは指さしてくる。

「アンタは要らない女だってことよ!!」

 人を指さすなんて失礼だなぁ、と思いつつも、黙っていると。

「スオカはアタシを愛してくれるの。どんな時も、ずっとずっと、ね。分かるでしょう? アンタなんかスオカはどうでもいいって思ってるのよ。ま、ある意味当たり前でしょうね。見るからにダサいし。アンタみたいなやつ、スオカが愛するわけないわ。姿見てよーく分かった」

 どんどんエスカレートしてくる。

「あのねぇ、スオカは困ってんのよ。アンタみたいなやつと生きるなんて嫌だけど訳なく婚約を破棄するのも難しいしって。スオカが悩んでんの知らないの? だとしたらアンタってほーんとなんにも分かってないのね。スオカはアンタなんかと一緒に生きたくはなくて! 本当はアタシと今すぐでも結婚したいって思ってんのよ! それが現実よ!」

 あまりにも攻撃的な言葉を吐き続けるものだから、さすがに我慢できなくなってきて。

「では話し合いを開催しましょう」

 反撃に出ることにした。

「は?」
「私と、彼と、貴女と。それから、私の両親と、彼の両親と、貴女の両親と。全員集まって話をしましょうよ。それが一番話が早いかと思いますので」
「……ッ!」
「問題ありませんよね?」
「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ。アンタ何言ってんの? 馬鹿なの? いい年して親とか出してくんなよ! おかしいわよ、そんなの!」
「いえ。結婚が関係している話ですから。親も無関係ではありません」

 焦るリリアニカ。

「話し合いなんて無駄! そんな馬鹿げた話、付き合えないわ! そもそも親なんて関係ないし! ……愛し合っている者たちが結ばれる、それだけがすべてだって言ってんの。負け組がごちゃごちゃ言ってんじゃないわよ。アタシと彼は愛し合っている、それだけでいいじゃない! それがすべてでしょ!」

 睨みながら大量の言葉を吐き出してくる。

 ……取り敢えず録音魔法を使っておこう。

「いいからさっさとスオカから離れなさいよ!」
「それはできません」
「生意気過ぎるって!」
「そういう問題ではないのです」
「何なのよ!」

 いちいち攻撃的な言い方をするリリアニカの様子は見ていて痛々しい。

 言いたいことがあるなら言えばいい。けれど敢えて超攻撃的な調子で言葉を発する必要はないはず。言いたいことがあるなら、怒る必要なんてなくて、主張したいことを冷静に主張すればいいだけではないか。

「それはこちらのセリフです。私と彼は正式に婚約しているのですよ。浮気相手にはあれこれ言う権利はありません」
「う、うるさい! うるさいうるさいうるさい! 浮気相手ですって!? 違う! アタシは浮気相手なんかじゃない! 本当に愛されてるのはアタシなの! アタシだけなのよ!」
「怒らないでください。やましいことがないのなら、堂々と出てきて、話し合えば良いだけです」
「アタシにやましいことがあるって言いたいの!? いい加減にしさないよ!? アンタねぇ! 調子乗り過ぎなのよ! あまりにも酷い! アンタはどこまで生意気なの!? スオカはアタシを愛してる、それがすべてでしょ! アンタは要らない! アンタなんてどっか行けばい! アンタなんて、アンタなんてねぇ……スオカの隣にいる価値のない女なのよ!!」
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