魔法が使えても家が裕福でないために人々から見下されてきたのですが、婚約破棄された翌日まさかの展開が待っていて――!?

前編

　私は魔法が使える。

　しかし家はあまり裕福でなく、そのため、いろんなところで見下されることが多かった。

　一応領地持ちではあるのだけれど。
　でも規模が小さくて。
　領地からの収入は限られている。

「お前みたいなみすぼらしい女とはやはり生涯を共にはできん！　よって、婚約は破棄とする！」

　婚約者であるレビーグーデン、彼もまた領地持ちの家の子息。
　けれども家の規模がうちとは大きく異なっている。
　私の実家はかなり小さい規模だが、彼の家はかなり大きい規模――国内でも五位には入るくらいと思われる。

「魔法が使える、といっても、たいしたものじゃなかったしな」
「……はい」
「何か言うことはあるか？」
「いえ……」
「そうか。じゃ、これで。去ってくれ」
「……はい、分かりました」

　私は去るしかなかった。

　言い返せる言葉なんてないから。
　黙って従うしかないのだ。

　初めて出会った時、レビーグーデンは、私が持つ魔法の才能に興味を持ってくれた。家柄で見下されることの多い人生だったから、そんな風に接してくれた人は彼が初めてで。そんな事情もあって彼のことが好きになった。

　でも、恋は終わってしまった。

　想いは実らなかった。