婚約者で王子の彼は裏で他の女を作っていたうえその人に私の悪口を言っていました。

四季

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後編

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 こうして小国の王子アルハードとの婚約は破棄となった。
 だがその直後に次の婚約話が舞い込んでくる。
 申し出をしてくれたのは隣の大国の王子であるウォシュエという人物であった。

 また王子か、嫌だな……。

 そんな風に思ってしまう部分もあったのだけれど、ウォシュエは静かに支えてくれるような感じの人で好印象。

 それから私は徐々に彼に惹かれていった。


 ◆


 あれから二年半が経過。

 我が人生もあの頃とは大きく変わった。

 隣の国、大国に嫁ぐこととなった私は、失ったものもあったけれどそれでも多くのものを得ることができた。

 その最たるものがウォシュレからの優しさや愛だろう。

 ウォシュレのもとへ行ったこと、生まれ育った国を出て生きると決めたこと――私は今少しも後悔していない。

 ちなみにかつて住んでいたあの小国は既に他の国に侵略されてなくなってしまったようだ。土地はあっても、人はいても、王家は潰れた。王は処刑され、王子王女らも皆揃って生を剥ぎ取られたようだ。

 アルハードもまた、その一人。

 彼は拷問まがいのことをされ散々遊ばれた挙句首を飛ばされてしまったそうだ。

 ……もっとも、今や他人なのでどうでもいいのだが。

 ただ、あのままあそこにいたらと想像した時、とても恐ろしいと感じることがある――もしかしたら私も王族たちと同じように処刑されていたかもしれない、そんな最悪に思考を巡らせてしまうから。

 あの時捨てられていて良かった。

 そしてウォシュレに出会えてそれも良かった。

 ――強くそう思いながら、今日も晴れやかな大国の空を見上げる。


◆終わり◆
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