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後編
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あれから一年半、私はポートレットと婚約することとなった。
意外な展開だろうか? 実際そうである。私も彼から想いを告げられるまでそんなことになるとは思っていなかった。確かに仲は良くて、でも、それ以上ではない。そんなくらいの考え方でいたのだ。そんな状態で急に将来を考えるようなことを言われたら、誰だって驚くだろう? 意外と思うだろう? 誰だってそういうものである。
でもポートレットのことは嫌いではなかったので婚約を受け入れた。
◆
卒業から二年半が経った。
私たち二人は見事に結ばれ、今は共に穏やかに生きている。
「これ、柿! 貰ってきたよ」
「ええっ、か、柿……!?」
「あはは珍しいよね、僕もそう思ってたんだ」
ポートレットと過ごす日々はとても楽しい。
かつてこんな未来を想像したことはなかった。
けれども今はこの現在こそが理想的な現在であると感じている。
「でもつやつやしてて美味しそうね、ふふ」
「だよねだよね!? やっぱりそうだよね!? 分かってもらえて嬉しいよ、最高! ありがとう!」
そうそうそういえば。
かつてポートレットの婚約者だった女性はというと、あの後一人の青年に惚れ込んで深い仲になるも利用されるだけ利用されて捨てられたそうだ。
で、それによって酷く傷ついてしまって。
以降眠れない日が続き悪夢に見舞われる日も続いて――その果てに精神状態を著しく悪化させてしまい、やがて寝惚けて家から出ていった際に馬車にはねられて死亡してしまったそうだ。
「じゃあ早速洗って切ってみましょうか」
「僕やるよ!」
「手伝うくらいでいいわよ?」
「あ……そうだよね、前あれこれ迷惑かけちゃったし……」
「反省してくれたしもう気にしなくていいのよ?」
「ありがとう……! じゃあ、できることからゆっくりやっていくよ」
私と彼の日常はまだ始まったばかり。
これからもきっと良いことがたくさんあるはず。
そう信じながら生きていきたい。
◆終わり◆
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