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後編
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あれから数年が経ち、私は、海で出会った彼と結婚した。
彼が国で一番有名な食品会社の社長の息子だと知った時にはとてつもない衝撃を受けた。それこそひっくり返りそうなほどで。何も起きていないのにその場で足を滑らせてしまいそうな勢いであった。
だが彼との話は順調に進み、あれよあれよというまに夫婦になったのだった。
単純? 短絡的過ぎる? そう思われてしまうかもしれない。出会って仲良くなったからと結婚なんて子ども? 人によってはそう思いもするだろう。
でもそれでもいい。
なぜなら私の人生は私が決めて歩んでゆくものだから。
私は私が選んだ道を行くのだ。
それに、今回の場合だと周囲からも温かく祝福してもらえているので、そんなに悪い結婚ではないのだと思う。
ちなみにかつて私を捨てた彼はというと。
あの後前々から気に入っていた職場の女性にアプローチするも凄まじい形相で拒否され、それによって大層落ち込んでしまったそうだ。また、そのことが噂として広く社員たちに伝わってしまったために職場へも行きづらくなり、精神的な不調も重なって出社できない状態となってしまった果てに退職したらしい。
そうして彼は今、毎日一人で自室にこもっているのだそうだ。
親とすらまともに会話しない状態だとか。
そこまで落ちてしまうとは――ああなんてこと、と言いたくなるくらい、とんでもなく恐ろしいことだ。
◆終わり◆
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