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5話
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冷たい季節。すべてが眠る季節。明日への準備をする季節。そんな冬を通り過ぎ、穏やかな春が近づいて来た頃、彼は丘へやって来た。
「久しぶり」
「貴方……生きていたの!?」
懐かしい顔を目にした瞬間、私の足は動いていた。
「はい、生きていました。ただ、また戦場へ行かなくてはならなくて、それでなかなかここへは来ることができませんでした」
「そう……忙しかったのね……」
彼は私を捨てたわけではなかった。
それが何より嬉しかった。
信じたくて、信じたくて、それでも信じられなかった。彼がまた来てくれることを、私はどうしても信じきれなくて。信じたくても、心が従わなかった。が、実際、彼はまたここへ来てくれた。
「もしかして、待ってくださっていたのですか?」
「……死んだかと思って心配したわ」
「死んでいませんよ。ただ脚が一本旅立っただけです」
言われて初めて気づく。
彼が失ったものに。
「……そんな」
「でも大丈夫、杖があれば普通に歩けます」
「……それは、そうかもしれないけれど」
「そうでした! またプレゼントがあるんですよ」
彼は斜めにかけた鞄の蓋を開けようとする。
四肢が自由でないせいか速やかに開けることはできないが、それなりに動くことはできていた。
「はい!」
彼は小さな箱を取り出し、こちらへ差し出す。
「これは……?」
「開けてみてください」
恐る恐る受け取る。箱の表面はするりと滑らか、絹のような触り心地。上下に開くような箱なので、両手があれば楽に開けることができる。私は唾を飲み込んでから、箱を開ける。
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