同棲中の理不尽な婚約者、消えてほしいと願っていたら……思わぬ形で本当にそうなりました!?

四季

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前編

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 私と婚約者の彼ドーレンは同棲している。

 しかしその同棲は幸せなものではなく。

 ほぼ強制されて、というようなもので――彼に得はあるだろうが私には得があるとは思えないようなものである。

「おい! 遅い! 食事まだか!」
「今作っています!」
「さっさと持ってこいっていつも言ってるだろ」
「その前に掃除をと仰っていたではないですか……」
「何だその態度! ふざけるな! とにかく、いいからさっさと食事を完成させて持ってこい」

 彼は私を奴隷か何かと勘違いしているようで。

「清掃きちんとできていないぞ!」
「え……ですから食事が先だと」
「何を言ってる! 清潔第一だと言っただろう!」
「いいからさっさと食事を完成させて持ってこい、と仰っていたではないですか……」
「うるさい! 女の分際で偉そうなことを言うな! 言い返すな!」

 毎日命令しこき使ってくる。

 そんな日々は私にとっては苦痛でしかなくて。

 特に嫌なのが彼との夜のやり取りだ。

 自信家なドーレンはたびたび「俺と暮らせて幸せだろう?」というようなことを言ってくるのだが、こちらが「もう少し優しくしてほしいです」といったような意見を言えば急に豹変し「お前みたいなのは管理されて当然なんだ! 無能だからな!」とか「お前が無能だから俺が指示してやってるんだろうが!」とか言ってくる。また、酷い時には躊躇いなく殴る蹴るされることだってあった。そういう時、彼は、制止が利かない状態となっているのだ。

 だから私は密かに願っていた――ドーレンがいなくなってしまえばいいのに――そんなことを。
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