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後編
しおりを挟む死を願うなんて罪だ。
分かっている。
けれどもどうしても願わずにはいられない。
あまりに辛すぎて。
――そんなある日、二人で暮らしている家に賊が押し入った。
私はクローゼットに隠れてやり過ごせた。
しかしドーレンは逃げられず賊に捕らえられてしまった。
不幸な事件、しかし私にとっては解放だった。
◆
ドーレンが行方不明となり、それによって彼との婚約は破棄となった。
ついに支配的な彼から解放されたのだ。
思いもしなかった展開ではあるけれど私は自由を手に入れた。
その後私はより良い人と巡り会い結婚。
今は夫と穏やかに暮らすことができている。
「また編み物してるのかい」
「ええ、好きなの」
平凡な暮らし、でもそれこそが何にも代えられない幸せなのだ。
「僕は細かい作業苦手だからな……尊敬するよ」
「褒めてくれてありがとう」
「完成したら見せてくれる?」
「ええ! もちろんよ」
そういえば先日街の人から聞いた話なのだけれど。
ドーレンはあの後賊のアジトにて拷問のような行為をされ続けているのだそうだ。
彼は賊たちのストレス発散のための道具となり。
ある意味おもちゃとして殴られたり蹴られたり暴力のフルコースを味わうことを強要されているらしい。
人らしい扱いなど、当然受けられるはずもなく。
自由のない、人権もない、そんな日々を泣きながら生きているのだそうだ。
◆終わり◆
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