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99話「アンヌの励ましと行動」
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あっという間に時は流れ、ウィクトルがフィルデラを発つ日が訪れる。
今回はリベルテもウィクトルと共に都へ行く。信頼できる部下がリベルテしかいなくなった現在においては当然のことだが、私一人ここに残ることになるのは切ないことだ。
とはいえ、私の心のためにウィクトルたちを引き留めるわけにはいかない。
彼らは、キエル帝国に、皇帝に仕えている身。皇帝が呼び出せば、すぐに向かわねばならない身分だ。数日待ってもらえているだけでも奇跡だったのである。
「気をつけて。ウィクトル」
「もちろんだ」
私も一緒に行きたかった。けれど、私は戦場に相応しくない人間。だから「連れていって」とは言えない。私が無理についていって、成婚パレードの時のように騒ぎが大きくなれば、ウィクトルたちに迷惑をかけることになってしまう。それを避けるためには、ここに残るのが一番良い方法なのだ。
「リベルテも、無事帰ってきてちょうだいね」
「はい!」
二人はもう行ってしまう。
肌を撫でる風は今日も穏やかで、けれども、この胸の内は決して穏やかではない。
ウィクトルもリベルテも弱い男ではない。だが、このような乱れた世であるから、本来起こりえないようなことが起こる可能性もゼロではないだろう。だから不安なのだ。無事帰ってくると信じたいが、信じきれない自分がいて。
それでも、彼らを引き留めることはできなかった。
私にできるのはただ一つ。悲劇が繰り返されないことを願うことだけ。
元々広かった部屋が、ますます広くなったように思う。
この広さは、一人で過ごすにはあまりに広すぎる。嫌になるくらいしんとしていて、時が経てば経つほどに胸が痛くなってきた。
憂鬱だ。
言葉では上手く言い表せないが、暗い気分。
窓の向こうに広がる世界は昨日までと何一つ変わっていない。澄んだ空、穏やかな日差し、壮大な山並み。どれも色鮮やか。
それでも私は笑えなかった。
何を求めれば良いのか。何を頼りに歩めば良いのか。
今の私には道標がなく、だから、どうしようもない状況だ。どうやって歩けば良いのかさえ分からない。歩き方などとうに忘れてしまった。
そんな私に僅かな光をくれたのは、アンヌだった。
「ウィクトル殿は出発なさったそうですね」
「アンヌさん……」
一人になった私のもとへやって来てくれたのは彼女が一人目。
「ウタ殿!? 顔色が悪いですよ!?」
やって来たアンヌは、私を見るや否や、そんなことを言った。どうやら、心が顔に滲み出てしまっていたようだ。
「ごめんなさい。一人になったら色々考えてしまって……」
「そうでしたか。いきなり一人というのは不安ですよね」
その時、ふと気づく。
彼女が私と同じ言語を使っていることに。
「あれ? そういえば……アンヌさんは地球の言葉が話せるんですね」
ウィクトルやリベルテは、いつも、自動翻訳機を身につけて私と話している。だが、アンヌは自動翻訳機を持っている様子はなく、しかしながら会話が成立している。ということは、彼女は地球の言葉を話せるということなのだろう。
「はい。少しだけですが。……珍しかったでしょうか?」
珍しいも何も、キエルには地球の言葉を話せる者などいないと思っていた。
「どこかで勉強なさったのですか?」
「はい。一時期地球へ行っている時がありまして、少しばかり勉強しました」
少しばかり、と言うわりには、きちんと話せている。
言葉選びに不自然さがあるわけではないし、発音もまともだ。
「へぇ! それは凄いですね!」
「いえ、それほどでも。でも、嬉しいです。ウタ殿、ありがとうございます」
アンヌが地球の言語を使いこなせる者だと気づき、私は久々に『嬉しさ』というものを思い出した。ウィクトルが出ていってしまってから忘れていた感情が、アンヌとの交流の中で徐々に蘇ってくる。
「あの、もし良かったらなんですけど……アンヌさん、これからもまた、たまにこうしてお話しませんか?」
一人でいるのが苦しかったからだろうか。私は半ば無意識のうちにそんなことを言っていた。
「お誘いありがとうございます。ぜひ」
孤独でありたくない。そんな思いだけで、何の前触れもなく私は誘ってしまった。けれどアンヌは嫌そうな顔はしない。彼女は僅かにずれた眼鏡を正しい位置に戻しながら、笑顔で言葉を返してくれた。
「本当ですか! 嬉しいです!」
「ウタ殿に笑っていただけて、私も嬉しいです」
アンヌは医師。けれど、肉体の損傷を回復へ導くだけの存在ではない。彼女の存在は、心にまとわりつく穢れすら払い去ってくれる。彼女は本当の意味で医師だった。
以降、アンヌは定期的に、私に外の世界を紹介してくれた。
ある日はフィルデラの散歩。ある日は外で昼食を楽しむ。
ニュースから得た情報によれば、帝都はまだ乱れている様子だ。しかし、フィルデラは今日も平和である。天候は穏やか、自然に満ちている、そして、暮らしている人たちも混乱の渦に巻き込まれてはいない。
「ウタ殿、今日は子どもたちを紹介したいのですが」
「え! アンヌさん、お子さんが!?」
「あ……いえ、違うんです。うちの院では小さい子どもの教育も行っていまして、その子どもたちを紹介しようかと」
子どもを紹介、なんて言うから、一瞬アンヌは結構な歳なのかと思ってしまった。が、それは間違いだったようだ。実子を紹介したい、というわけではないようである。
「そうなんですか。でも、私で問題ないですか? 何もできませんけど」
私には指導できる分野などない。それでも問題ないのか。
「実は……子どもたちもウタ殿に会ってみたいと言っているのです」
「え。私に、ですか」
「はい。ウタ殿が歌がお上手ということは、この辺りでも一応有名ですので」
「そうだったんですね……」
フィルデラは都からそこそこ離れた土地。それゆえ、あまり知られていないのだと思っていた。
「じゃあ、お邪魔します。何もできないですけど」
「ありがとうございます!」
礼を言わねばならないのはこちらだ。私がアンヌにいつも助けられているのだから。それなのに、私が礼を言われてしまった。これは実に奇妙な構図だ。
だが、子どもと触れ合うというのは、一種の癒やしとなるかもしれない。
それならば、挑戦してみる価値はある。
一軒家のそれほど部屋数もない病院。その一室に、子どもたちはいた。
私はアンヌに案内されて、子どもたちがいる部屋へ恐る恐る足を進める。
扉が開き、先頭を行くアンヌに続けて私が入室すると、視線が一斉にこちらを向いた。いくつもの目が私をじっと見つめてくる。
「みんな、連れてきましたよ。ウタ殿を」
十歳前後だろうか、皆穏やかな顔つきをしている。だが、その凝視にはかなりの圧があった。自意識過剰気味だからかもしれないが、棘を刺されているのかと錯覚するくらい視線を感じる。
「アンヌ先生! その人、本当にウタさんー!?」
「そうですよ」
「確か地球とかいう星の人やんなー! キエル人と何も変わらへんやんー!」
「ほとんど同じ遺伝子のようですよ」
子どもたちは賑やかだ。
騒々しい空気は慣れないが、胸の内の暗いところを掻き消してくれそう——そんな気がする。
今回はリベルテもウィクトルと共に都へ行く。信頼できる部下がリベルテしかいなくなった現在においては当然のことだが、私一人ここに残ることになるのは切ないことだ。
とはいえ、私の心のためにウィクトルたちを引き留めるわけにはいかない。
彼らは、キエル帝国に、皇帝に仕えている身。皇帝が呼び出せば、すぐに向かわねばならない身分だ。数日待ってもらえているだけでも奇跡だったのである。
「気をつけて。ウィクトル」
「もちろんだ」
私も一緒に行きたかった。けれど、私は戦場に相応しくない人間。だから「連れていって」とは言えない。私が無理についていって、成婚パレードの時のように騒ぎが大きくなれば、ウィクトルたちに迷惑をかけることになってしまう。それを避けるためには、ここに残るのが一番良い方法なのだ。
「リベルテも、無事帰ってきてちょうだいね」
「はい!」
二人はもう行ってしまう。
肌を撫でる風は今日も穏やかで、けれども、この胸の内は決して穏やかではない。
ウィクトルもリベルテも弱い男ではない。だが、このような乱れた世であるから、本来起こりえないようなことが起こる可能性もゼロではないだろう。だから不安なのだ。無事帰ってくると信じたいが、信じきれない自分がいて。
それでも、彼らを引き留めることはできなかった。
私にできるのはただ一つ。悲劇が繰り返されないことを願うことだけ。
元々広かった部屋が、ますます広くなったように思う。
この広さは、一人で過ごすにはあまりに広すぎる。嫌になるくらいしんとしていて、時が経てば経つほどに胸が痛くなってきた。
憂鬱だ。
言葉では上手く言い表せないが、暗い気分。
窓の向こうに広がる世界は昨日までと何一つ変わっていない。澄んだ空、穏やかな日差し、壮大な山並み。どれも色鮮やか。
それでも私は笑えなかった。
何を求めれば良いのか。何を頼りに歩めば良いのか。
今の私には道標がなく、だから、どうしようもない状況だ。どうやって歩けば良いのかさえ分からない。歩き方などとうに忘れてしまった。
そんな私に僅かな光をくれたのは、アンヌだった。
「ウィクトル殿は出発なさったそうですね」
「アンヌさん……」
一人になった私のもとへやって来てくれたのは彼女が一人目。
「ウタ殿!? 顔色が悪いですよ!?」
やって来たアンヌは、私を見るや否や、そんなことを言った。どうやら、心が顔に滲み出てしまっていたようだ。
「ごめんなさい。一人になったら色々考えてしまって……」
「そうでしたか。いきなり一人というのは不安ですよね」
その時、ふと気づく。
彼女が私と同じ言語を使っていることに。
「あれ? そういえば……アンヌさんは地球の言葉が話せるんですね」
ウィクトルやリベルテは、いつも、自動翻訳機を身につけて私と話している。だが、アンヌは自動翻訳機を持っている様子はなく、しかしながら会話が成立している。ということは、彼女は地球の言葉を話せるということなのだろう。
「はい。少しだけですが。……珍しかったでしょうか?」
珍しいも何も、キエルには地球の言葉を話せる者などいないと思っていた。
「どこかで勉強なさったのですか?」
「はい。一時期地球へ行っている時がありまして、少しばかり勉強しました」
少しばかり、と言うわりには、きちんと話せている。
言葉選びに不自然さがあるわけではないし、発音もまともだ。
「へぇ! それは凄いですね!」
「いえ、それほどでも。でも、嬉しいです。ウタ殿、ありがとうございます」
アンヌが地球の言語を使いこなせる者だと気づき、私は久々に『嬉しさ』というものを思い出した。ウィクトルが出ていってしまってから忘れていた感情が、アンヌとの交流の中で徐々に蘇ってくる。
「あの、もし良かったらなんですけど……アンヌさん、これからもまた、たまにこうしてお話しませんか?」
一人でいるのが苦しかったからだろうか。私は半ば無意識のうちにそんなことを言っていた。
「お誘いありがとうございます。ぜひ」
孤独でありたくない。そんな思いだけで、何の前触れもなく私は誘ってしまった。けれどアンヌは嫌そうな顔はしない。彼女は僅かにずれた眼鏡を正しい位置に戻しながら、笑顔で言葉を返してくれた。
「本当ですか! 嬉しいです!」
「ウタ殿に笑っていただけて、私も嬉しいです」
アンヌは医師。けれど、肉体の損傷を回復へ導くだけの存在ではない。彼女の存在は、心にまとわりつく穢れすら払い去ってくれる。彼女は本当の意味で医師だった。
以降、アンヌは定期的に、私に外の世界を紹介してくれた。
ある日はフィルデラの散歩。ある日は外で昼食を楽しむ。
ニュースから得た情報によれば、帝都はまだ乱れている様子だ。しかし、フィルデラは今日も平和である。天候は穏やか、自然に満ちている、そして、暮らしている人たちも混乱の渦に巻き込まれてはいない。
「ウタ殿、今日は子どもたちを紹介したいのですが」
「え! アンヌさん、お子さんが!?」
「あ……いえ、違うんです。うちの院では小さい子どもの教育も行っていまして、その子どもたちを紹介しようかと」
子どもを紹介、なんて言うから、一瞬アンヌは結構な歳なのかと思ってしまった。が、それは間違いだったようだ。実子を紹介したい、というわけではないようである。
「そうなんですか。でも、私で問題ないですか? 何もできませんけど」
私には指導できる分野などない。それでも問題ないのか。
「実は……子どもたちもウタ殿に会ってみたいと言っているのです」
「え。私に、ですか」
「はい。ウタ殿が歌がお上手ということは、この辺りでも一応有名ですので」
「そうだったんですね……」
フィルデラは都からそこそこ離れた土地。それゆえ、あまり知られていないのだと思っていた。
「じゃあ、お邪魔します。何もできないですけど」
「ありがとうございます!」
礼を言わねばならないのはこちらだ。私がアンヌにいつも助けられているのだから。それなのに、私が礼を言われてしまった。これは実に奇妙な構図だ。
だが、子どもと触れ合うというのは、一種の癒やしとなるかもしれない。
それならば、挑戦してみる価値はある。
一軒家のそれほど部屋数もない病院。その一室に、子どもたちはいた。
私はアンヌに案内されて、子どもたちがいる部屋へ恐る恐る足を進める。
扉が開き、先頭を行くアンヌに続けて私が入室すると、視線が一斉にこちらを向いた。いくつもの目が私をじっと見つめてくる。
「みんな、連れてきましたよ。ウタ殿を」
十歳前後だろうか、皆穏やかな顔つきをしている。だが、その凝視にはかなりの圧があった。自意識過剰気味だからかもしれないが、棘を刺されているのかと錯覚するくらい視線を感じる。
「アンヌ先生! その人、本当にウタさんー!?」
「そうですよ」
「確か地球とかいう星の人やんなー! キエル人と何も変わらへんやんー!」
「ほとんど同じ遺伝子のようですよ」
子どもたちは賑やかだ。
騒々しい空気は慣れないが、胸の内の暗いところを掻き消してくれそう——そんな気がする。
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