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108話「リベルテの花仮面」
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茄子のような形の顔面には、桃のような鼻としわの多い唇。広くなった額には無数の吹き出物が光る。生え際はかなり後退しているが、わざとらしいほどの毛量で、頭髪は通常考える頭のラインより遥かに大きい。いかにも偽物、と積極的に訴えているかのような金の髪が、大量に生えて頭を包んでいる。
「お姉ちゃんもきっと満足してくれると思うからさぁ、付き合ってよ。一晩だけでいいからさぁ」
喋り方、声、その両方から愚かさが滲み出ている。
だが、そのくせ握力は半端なく強い。
逃れようともがいても、その手から逃れることはできない。女の力では逃れられないほど、彼は手の力が強いようだ。
「嫌よ!」
「何言ってるのかよーく分かんないなぁ。お姉ちゃん、キエルの人じゃない? でも、まぁ、そんなことはどーうでもいいよぉ。おじさん差別される気持ちが分かるから、人種差別とかはしないってぇ」
腕力では敵わず、言葉も通じない。この状況でどう逃れろというのか。
もし仮に、これが神が与えた試練なのだとしたら、その神とはきっと邪悪な魔の神なのだろう。
「ほらほら、お姉ちゃん。そーんな身構えなくていいっていいって。一緒に一晩ゆっくり楽し——」
「何をしている」
男の言葉を遮ったのは、ウィクトルの声だった。
どうやら彼は追ってきてくれていたようだ。いや、もしかしたら、ただ歩いて移動していただけかもしれないが。ただ、どんな理由であれ、今の状況を彼が目にしてくれたことは事実。そして、それは大きなことだ。私一人で逃れなくてはならないより、彼に手を貸してもらって逃れる方が、逃れられる可能性は飛躍的に高まる。
「んんー? 良い感じの時に入ってくるのは止めてほしいなぁー」
「嫌がっているのを捕まえて『良い感じ』か。馬鹿らしい」
「はぁー? お前、一体何をほざいてやがるぅ?」
喧嘩したばかりの私を助けてくれるだろうか、という不安はある。
だが、それでも一人ぼっちよりはましだ。
「まさかぁ、このお姉ちゃん、お前の女かぁ?」
「そうだ、と言ったら」
「ならなおさら奪いたくなるに決まってるだろぅー? おじさんはなぁ、イケてるメンのイケてる女を宝剣で貫くのがだーい好きなんだよぅ」
ウィクトルは眉をひそめる。
「……剣士か。不審者かと思ったが」
低い声で不愉快そうに呟くのはウィクトル。
その隣のリベルテは渋い顔をしていた。
「主、恐らくあれはそういう意味では」
「ならば剣を抜け。構わん。ただし、こちらも剣を抜かせてもらう」
ウィクトルは腰に差していたレイピアを抜き、夜の空間に銀の刃を煌めかせる。
「んぁ!? 武器ぃ!?」
「そうか。後から抜いても私に勝てる、と。どうやら随分自信家らしい」
「お、お前! いきなり武器を出すのは危険だろぅ!」
男はウィクトルに向かって必死に唾を飛ばしている。が、まったくもって届いていない。唾をかけたいなら、咳でもすれば簡単だっただろうに。
「何にせよ、ウタくんを殺す気の者を生かしてはおけん」
踏み込むウィクトルを止めることはできない——数秒後、レイピアの先が男の喉元に触れていた。
「ひ、ひえぇっ!?」
「彼女を離せ。……それとも死を望むか」
男は完全に怯んでいた。
しかし、私を掴む手だけは一切緩まない。
「こ、このご時世なぁ! こんなイケてる女はレアなんだよ! おじさん、宝剣で今すぐ貫きたくて仕方ねぇーんだ!」
「そうか。娘を貫く趣味とは、実に変質的だな。……では死ね」
レイピアの先が一気に動く。
男の首は裂かれる——そのはずだった。
「おじさん、死ねと言われたら生きたくなるなぁ」
だが、男は首を裂かれる直前に反応し、ナイフを当てて負傷を防いでいた。
実はナイフを所持していたのか。それが驚きだ。
ナイフでウィクトルの攻撃を防いだことも驚きではあるが、個人的に一番衝撃を受けたのは『刃物を所持していたこと』だ。
あのまま一人抵抗を続けていたら、刃物で脅されたかもしれない。いや、それどころか、運が悪ければ怪我をさせられていたかもしれなかったのだ。そう思うと、恐怖しか湧いてこなかった。
「……防いだ、か」
「おじさん『死ね』なんて言われ慣れてるからさぁー、そのくらい、もう痛くも痒くもないんだぁ。平気平気。ダメージゼロってやつぅ?」
ノリは軽いが、発言内容は重めだった。
つい同情しそうになる。
だが、その同情は一瞬にして消えた。なぜなら、男がナイフを私に向けてきたから。
「あのさぁ、こーんな素敵なお姉ちゃん相手にあーんな責め方するなんて、おじさん駄目だと思うなぁ。さっきの喧嘩聞いてたけど、お前、お姉ちゃんの言うことなーんにも聞いてなかっただろぅ? そりゃ嫌われるわ」
聞かれていたのか、と、内心驚き戸惑う。
こんな夜の、こんな人のいないところで、話をこっそり盗み聞きされていたとは。そんなこと、想像してもみなかった。重要なことを話していなくて良かった、と、そこだけは安堵する。
「お姉ちゃんは会えて喜んでいたんじゃないのかぁ? それなのにお前は、あーんな心ないことばーっかり言って。真にくだらない奴はどっちだぁ?」
「……他人が口出しすることではないはずだ」
「こう見えてもおじさん年に十八人は女の子買ってきたからさぁ、お前よりかは心分かってるってーわけよー」
男の言うことは間違ってはいない。そう思いはするけれど、だからといって男が善人だとは思えない。本当の善人は他人に刃物を向けたりはしないはずだから。
「……ふざけた、真似を」
「あのような戯言に付き合う必要はございません、主。あれはただの不審者。我々に害を為す者です」
今に限っては、ウィクトルよりリベルテの方が冷静だ。
「主、良ければご命令を。ウタ様を保護致します」
「……そう、だな。リベルテの方が救出には向いているか」
「はい。ですから、ご命令を」
「では頼む。ウタくんを怪我なく取り戻せ」
ウィクトルが小さな声で命じると、リベルテは面に花を咲かせ「はい!」と返事をした。
リベルテは、ポシェットを揺らしながら軽やかな足取りで男と私の方へ近づいてくる。顔にはまだ花が咲いたまま。敵意の欠片も感じさせない陽気かつ晴れやかな表情で、みるみるうちに接近してくる。
「少し、お話させていただいてもよろしいでしょうか?」
「んんー? 何だぁー?」
「貴方様はご存知でしょうか? この世には、魅惑的な女性のバイブルというものがございましてですね」
笑みという仮面をつけたリベルテの心は、私にすら読めない。彼は一体何をしようとしているのか、それを掴むことさえ不可能に近い気がする。
「イケてる女の本かぁ?」
「はい。実は持っておりますので、差し上げますね」
「おぅふふふ」
リベルテは下げているポシェットを開け、その中から小振りな本を一冊取り出す——その本は、術を行使するための本。
私はそれを知っていたが、男は知らない。
だから、男はそこまで警戒していない様子だ。
「気が利くなぁ。何なら、君も、おじさんの宝剣で貫いてあげても——」
「火!」
「ふぁっ!?」
開いた本の紙面から噴き出したのは、火。
男は顔面にそれをまともに食らった。その時、ようやく、私を掴む手が緩む。狙い目はここしかない、と思い、私はその場から走って離れる。
「お姉ちゃんもきっと満足してくれると思うからさぁ、付き合ってよ。一晩だけでいいからさぁ」
喋り方、声、その両方から愚かさが滲み出ている。
だが、そのくせ握力は半端なく強い。
逃れようともがいても、その手から逃れることはできない。女の力では逃れられないほど、彼は手の力が強いようだ。
「嫌よ!」
「何言ってるのかよーく分かんないなぁ。お姉ちゃん、キエルの人じゃない? でも、まぁ、そんなことはどーうでもいいよぉ。おじさん差別される気持ちが分かるから、人種差別とかはしないってぇ」
腕力では敵わず、言葉も通じない。この状況でどう逃れろというのか。
もし仮に、これが神が与えた試練なのだとしたら、その神とはきっと邪悪な魔の神なのだろう。
「ほらほら、お姉ちゃん。そーんな身構えなくていいっていいって。一緒に一晩ゆっくり楽し——」
「何をしている」
男の言葉を遮ったのは、ウィクトルの声だった。
どうやら彼は追ってきてくれていたようだ。いや、もしかしたら、ただ歩いて移動していただけかもしれないが。ただ、どんな理由であれ、今の状況を彼が目にしてくれたことは事実。そして、それは大きなことだ。私一人で逃れなくてはならないより、彼に手を貸してもらって逃れる方が、逃れられる可能性は飛躍的に高まる。
「んんー? 良い感じの時に入ってくるのは止めてほしいなぁー」
「嫌がっているのを捕まえて『良い感じ』か。馬鹿らしい」
「はぁー? お前、一体何をほざいてやがるぅ?」
喧嘩したばかりの私を助けてくれるだろうか、という不安はある。
だが、それでも一人ぼっちよりはましだ。
「まさかぁ、このお姉ちゃん、お前の女かぁ?」
「そうだ、と言ったら」
「ならなおさら奪いたくなるに決まってるだろぅー? おじさんはなぁ、イケてるメンのイケてる女を宝剣で貫くのがだーい好きなんだよぅ」
ウィクトルは眉をひそめる。
「……剣士か。不審者かと思ったが」
低い声で不愉快そうに呟くのはウィクトル。
その隣のリベルテは渋い顔をしていた。
「主、恐らくあれはそういう意味では」
「ならば剣を抜け。構わん。ただし、こちらも剣を抜かせてもらう」
ウィクトルは腰に差していたレイピアを抜き、夜の空間に銀の刃を煌めかせる。
「んぁ!? 武器ぃ!?」
「そうか。後から抜いても私に勝てる、と。どうやら随分自信家らしい」
「お、お前! いきなり武器を出すのは危険だろぅ!」
男はウィクトルに向かって必死に唾を飛ばしている。が、まったくもって届いていない。唾をかけたいなら、咳でもすれば簡単だっただろうに。
「何にせよ、ウタくんを殺す気の者を生かしてはおけん」
踏み込むウィクトルを止めることはできない——数秒後、レイピアの先が男の喉元に触れていた。
「ひ、ひえぇっ!?」
「彼女を離せ。……それとも死を望むか」
男は完全に怯んでいた。
しかし、私を掴む手だけは一切緩まない。
「こ、このご時世なぁ! こんなイケてる女はレアなんだよ! おじさん、宝剣で今すぐ貫きたくて仕方ねぇーんだ!」
「そうか。娘を貫く趣味とは、実に変質的だな。……では死ね」
レイピアの先が一気に動く。
男の首は裂かれる——そのはずだった。
「おじさん、死ねと言われたら生きたくなるなぁ」
だが、男は首を裂かれる直前に反応し、ナイフを当てて負傷を防いでいた。
実はナイフを所持していたのか。それが驚きだ。
ナイフでウィクトルの攻撃を防いだことも驚きではあるが、個人的に一番衝撃を受けたのは『刃物を所持していたこと』だ。
あのまま一人抵抗を続けていたら、刃物で脅されたかもしれない。いや、それどころか、運が悪ければ怪我をさせられていたかもしれなかったのだ。そう思うと、恐怖しか湧いてこなかった。
「……防いだ、か」
「おじさん『死ね』なんて言われ慣れてるからさぁー、そのくらい、もう痛くも痒くもないんだぁ。平気平気。ダメージゼロってやつぅ?」
ノリは軽いが、発言内容は重めだった。
つい同情しそうになる。
だが、その同情は一瞬にして消えた。なぜなら、男がナイフを私に向けてきたから。
「あのさぁ、こーんな素敵なお姉ちゃん相手にあーんな責め方するなんて、おじさん駄目だと思うなぁ。さっきの喧嘩聞いてたけど、お前、お姉ちゃんの言うことなーんにも聞いてなかっただろぅ? そりゃ嫌われるわ」
聞かれていたのか、と、内心驚き戸惑う。
こんな夜の、こんな人のいないところで、話をこっそり盗み聞きされていたとは。そんなこと、想像してもみなかった。重要なことを話していなくて良かった、と、そこだけは安堵する。
「お姉ちゃんは会えて喜んでいたんじゃないのかぁ? それなのにお前は、あーんな心ないことばーっかり言って。真にくだらない奴はどっちだぁ?」
「……他人が口出しすることではないはずだ」
「こう見えてもおじさん年に十八人は女の子買ってきたからさぁ、お前よりかは心分かってるってーわけよー」
男の言うことは間違ってはいない。そう思いはするけれど、だからといって男が善人だとは思えない。本当の善人は他人に刃物を向けたりはしないはずだから。
「……ふざけた、真似を」
「あのような戯言に付き合う必要はございません、主。あれはただの不審者。我々に害を為す者です」
今に限っては、ウィクトルよりリベルテの方が冷静だ。
「主、良ければご命令を。ウタ様を保護致します」
「……そう、だな。リベルテの方が救出には向いているか」
「はい。ですから、ご命令を」
「では頼む。ウタくんを怪我なく取り戻せ」
ウィクトルが小さな声で命じると、リベルテは面に花を咲かせ「はい!」と返事をした。
リベルテは、ポシェットを揺らしながら軽やかな足取りで男と私の方へ近づいてくる。顔にはまだ花が咲いたまま。敵意の欠片も感じさせない陽気かつ晴れやかな表情で、みるみるうちに接近してくる。
「少し、お話させていただいてもよろしいでしょうか?」
「んんー? 何だぁー?」
「貴方様はご存知でしょうか? この世には、魅惑的な女性のバイブルというものがございましてですね」
笑みという仮面をつけたリベルテの心は、私にすら読めない。彼は一体何をしようとしているのか、それを掴むことさえ不可能に近い気がする。
「イケてる女の本かぁ?」
「はい。実は持っておりますので、差し上げますね」
「おぅふふふ」
リベルテは下げているポシェットを開け、その中から小振りな本を一冊取り出す——その本は、術を行使するための本。
私はそれを知っていたが、男は知らない。
だから、男はそこまで警戒していない様子だ。
「気が利くなぁ。何なら、君も、おじさんの宝剣で貫いてあげても——」
「火!」
「ふぁっ!?」
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