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114話「ウィクトルの呼び出され」
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一曲歌い終えると、響くのは拍手。
その数秒後、男性のものと思われる声が飛び交う。
「ほぉーう! 上手いなぁ! いいぞいいぞぉー」
「ひゃっふー! ふぉっふふぉっふふぉらっひゅふー!」
「見事、ですな」
見知らぬ人の前で歌を披露するのは、いまだに少し緊張する。
けれども、拍手の音や飛んでくる掛け声を聞いていたら、強張り固まった心が徐々に溶け始めた。
緊張は氷のようなもの。それゆえ、一人でいると孤独の冷たさによって固まっていくばかりだが、人の温もりに触れると春の目覚めの陽を浴びたかのように溶けてゆくのだ。
「見事じゃな、ウタ」
イヴァンからの評価も悪くはなかった。観客からの評価もまずまず。頑張った方だろう。
私はその場で一礼し、段をゆっくりと下りていく。
その時だ、広間に人が駆け込んできたのは。
「皇帝陛下! 敵軍が!」
刺々しい叫びが空気を揺らす。そしてそれが、酒を楽しんでいた者たちの心をもき乱し始める。広間に動揺の波が一気に広がった。直前まで楽しげな空気は一変、恐怖の空気が漂い始める。
「何だ何だ!? 何の騒ぎだ!?」
「て、敵軍……? いやーん、何それー。怖いよぉ」
「大丈夫! お姉ちゃんは護ってみせますぞ!」
「あらやだ逞しぃーん」
静かだった広間内に声が飛び交う。皆、敵軍への恐怖と特別な状況への高揚感によって、平常心を失っている。悲壮感が漂うまでには至っていないものの、落ち着きのない騒々しい雰囲気が部屋中を満たした。
「敵軍、じゃと?」
「は、はい! 既に建物の前にまで! 今はいくつかの部隊を防衛に当たらせていますが……」
帽子も上着もズボンも手袋までもすべてが紺色の男性は、狼狽した様子でイヴァンに状況を伝える。だが、そんな彼とは対照的に、イヴァンは冷静さを保ち続けていた。
「そうか。……ウィクトルは、どこにいる?」
「ウィクトルさんですか? ええと、確か……防衛部隊の中にいらっしゃったような」
こんな時にウィクトルの名が出てくるとは。予想していなかった。
いや、もちろん、彼の名が出てくるのもおかしな話ではないのだ。彼はイヴァン側として戦っているから、イヴァンの口からウィクトルという名前が出ても本当は不自然ではない。
けれども、それを予想できるほど、私の頭は器用ではなかった。
だから結果的に驚くことになってしまったのである。
「ここへ呼べ」
「えっ……ウィクトルさんを、ですか?」
「当たり前じゃろう! 当然のことをいちいち聞くな!」
狼狽え気味の男性は敢えて確認をし、それによってイヴァンから叱責を食らうはめになっていた。
少し気の毒だが、当たり前のことを確認して怒られるという経験は誰しも一度二度はあるだろう。皆通る道。珍しいことではあるまい。
「は、はいっ!! 申し訳ございません! 今すぐ呼んで参りますゥッ!!」
男性はすぐに走って広間から出ていった。
慌ただしい人がいなくなれば場の雰囲気も静かになるかと思っていたが、案外そんなことはなく。酒を飲みつつも、誰もが、不安げな目をしていた。男性はもちろん、彼らの相手をしている女性たちも、これからのことを想像して恐怖感を覚えているようである。
私とて、怖くないわけではない。でも私は、進みゆく道の先が見えず恐ろしいからといって狼狽たりはしない。一人は孤独なようだが、人間、案外一人の方が強くなれる時もある。少なくとも、周囲からの不安の伝播は回避できる。それだけでもましだ。
どんな未来が待っているかは、まだ分からない。
けれども、今ここで狼狽え騒いだところで、未来が変わるわけではない。
それならば、せめて、どっしりと構えていよう。腰を据え、迫り来るものと向き合おう。
「お待たせしました。お呼びでしょうか」
ウィクトルと彼に付き従うリベルテが広間に到着したのは、狼狽え気味の男性が出ていってから数分後のことだった。
到着し、イヴァンの前へ出るや否や、ウィクトルは「裏口に回りそちらから入った」という数分かかった理由を説明。イヴァンはただ頷くだけだったが、怒っている様子ではなかった。
「ここを防衛せよ」
「二人で、ですか。良ければ部隊の者も連れてきますが」
「その必要はない」
「はぁ……そうですか。承知しました。では、広間の前で見張っておきます」
ウィクトルはくるりと身を返し、部屋の入り口の方へと歩き出す。
それに同行するように身を返したリベルテと、目が合ってしまった。
「……ウタ様」
リベルテはそれでなくても大きめの目を見開いて、私の名を呟く。
「お、お久しぶりー……」
私はどのように接すれば良いのか分からず、そんな奇妙な返事をしてしまった。
直後、リベルテがウィクトルの背を叩く。まだ私に気づいていないウィクトルは、何事もなかったかのように振り返り、リベルテへと視線を注いだ。それからリベルテが、ウィクトルに、私のことを告げる。ウィクトルの目がこちらへ向いたのは、その後。
「ウタくん……なぜここに……?」
入り口の方へと向かっていたはずのウィクトルの足が止まる。
「あ……その、気にしないで。偶々呼ばれて来ていたの」
「そうだったのか」
「私のことは気にしないで。ウィクトルはウィクトルの役目を果たしてちょうだい」
彼には彼の任務がある。今は私に構っている場合ではないはずだ。イヴァンの命令が絶対なのだとしたら、彼には、私のことを気にしている暇などない。私はそれでも構わないのだ。ウィクトルの足を引っ張るくらいなら、無視される方が良い。
「……そう、だな」
ウィクトルはなぜか悲しげな目をした。
止めてほしい、こちらまで悲しくなってくるから。
その数秒後、ウィクトルは体の前面を私とは違う方向へ向け、再び入り口へと進み始める。
私は密かに「良かった」と安堵した。イヴァンのいるここでは、どのみち仲良くなんてできない。語り合うことだって無理。それなら、彼が批判されない展開になるのが、一番良い展開だと言えるはず。
だが、刹那。
空気が派手に揺れ動いた。
「まずいぞ! 入られた!」
入り口の向こう側から、悲鳴にも似たそんな声が飛んでくる。
「深くまで踏み込ませるな!!」
「何でもいい! 止めろ! 誰でもいいから止めてくれっ!!」
悲痛な叫びと共に鳴り響くのは、地鳴りのような足音。
凄まじい勢いだ。
「どうします」
ウィクトルは素早く身を返し、イヴァンに選択を問う。
「殺せ」
イヴァンの口から出た短い判断にどよめきが起こる。
ただ、ウィクトルは慣れているらしく、さほど驚いていない。
「侵入者は皆殺し、ですか」
「そうだ。敵は消す」
「承知しました。では、侵入者は皆殺しで」
復唱し、入り口に視線を注ぐ。
その時のウィクトルは、私の知る彼ではなかった。
凍て付く闇の中に潜む悪魔なような眼差し。それはもう、彼であって彼でないような異形。間違いなく彼であると確認していたにもかかわらず、今は、彼を彼だと認識できない。
その数秒後、男性のものと思われる声が飛び交う。
「ほぉーう! 上手いなぁ! いいぞいいぞぉー」
「ひゃっふー! ふぉっふふぉっふふぉらっひゅふー!」
「見事、ですな」
見知らぬ人の前で歌を披露するのは、いまだに少し緊張する。
けれども、拍手の音や飛んでくる掛け声を聞いていたら、強張り固まった心が徐々に溶け始めた。
緊張は氷のようなもの。それゆえ、一人でいると孤独の冷たさによって固まっていくばかりだが、人の温もりに触れると春の目覚めの陽を浴びたかのように溶けてゆくのだ。
「見事じゃな、ウタ」
イヴァンからの評価も悪くはなかった。観客からの評価もまずまず。頑張った方だろう。
私はその場で一礼し、段をゆっくりと下りていく。
その時だ、広間に人が駆け込んできたのは。
「皇帝陛下! 敵軍が!」
刺々しい叫びが空気を揺らす。そしてそれが、酒を楽しんでいた者たちの心をもき乱し始める。広間に動揺の波が一気に広がった。直前まで楽しげな空気は一変、恐怖の空気が漂い始める。
「何だ何だ!? 何の騒ぎだ!?」
「て、敵軍……? いやーん、何それー。怖いよぉ」
「大丈夫! お姉ちゃんは護ってみせますぞ!」
「あらやだ逞しぃーん」
静かだった広間内に声が飛び交う。皆、敵軍への恐怖と特別な状況への高揚感によって、平常心を失っている。悲壮感が漂うまでには至っていないものの、落ち着きのない騒々しい雰囲気が部屋中を満たした。
「敵軍、じゃと?」
「は、はい! 既に建物の前にまで! 今はいくつかの部隊を防衛に当たらせていますが……」
帽子も上着もズボンも手袋までもすべてが紺色の男性は、狼狽した様子でイヴァンに状況を伝える。だが、そんな彼とは対照的に、イヴァンは冷静さを保ち続けていた。
「そうか。……ウィクトルは、どこにいる?」
「ウィクトルさんですか? ええと、確か……防衛部隊の中にいらっしゃったような」
こんな時にウィクトルの名が出てくるとは。予想していなかった。
いや、もちろん、彼の名が出てくるのもおかしな話ではないのだ。彼はイヴァン側として戦っているから、イヴァンの口からウィクトルという名前が出ても本当は不自然ではない。
けれども、それを予想できるほど、私の頭は器用ではなかった。
だから結果的に驚くことになってしまったのである。
「ここへ呼べ」
「えっ……ウィクトルさんを、ですか?」
「当たり前じゃろう! 当然のことをいちいち聞くな!」
狼狽え気味の男性は敢えて確認をし、それによってイヴァンから叱責を食らうはめになっていた。
少し気の毒だが、当たり前のことを確認して怒られるという経験は誰しも一度二度はあるだろう。皆通る道。珍しいことではあるまい。
「は、はいっ!! 申し訳ございません! 今すぐ呼んで参りますゥッ!!」
男性はすぐに走って広間から出ていった。
慌ただしい人がいなくなれば場の雰囲気も静かになるかと思っていたが、案外そんなことはなく。酒を飲みつつも、誰もが、不安げな目をしていた。男性はもちろん、彼らの相手をしている女性たちも、これからのことを想像して恐怖感を覚えているようである。
私とて、怖くないわけではない。でも私は、進みゆく道の先が見えず恐ろしいからといって狼狽たりはしない。一人は孤独なようだが、人間、案外一人の方が強くなれる時もある。少なくとも、周囲からの不安の伝播は回避できる。それだけでもましだ。
どんな未来が待っているかは、まだ分からない。
けれども、今ここで狼狽え騒いだところで、未来が変わるわけではない。
それならば、せめて、どっしりと構えていよう。腰を据え、迫り来るものと向き合おう。
「お待たせしました。お呼びでしょうか」
ウィクトルと彼に付き従うリベルテが広間に到着したのは、狼狽え気味の男性が出ていってから数分後のことだった。
到着し、イヴァンの前へ出るや否や、ウィクトルは「裏口に回りそちらから入った」という数分かかった理由を説明。イヴァンはただ頷くだけだったが、怒っている様子ではなかった。
「ここを防衛せよ」
「二人で、ですか。良ければ部隊の者も連れてきますが」
「その必要はない」
「はぁ……そうですか。承知しました。では、広間の前で見張っておきます」
ウィクトルはくるりと身を返し、部屋の入り口の方へと歩き出す。
それに同行するように身を返したリベルテと、目が合ってしまった。
「……ウタ様」
リベルテはそれでなくても大きめの目を見開いて、私の名を呟く。
「お、お久しぶりー……」
私はどのように接すれば良いのか分からず、そんな奇妙な返事をしてしまった。
直後、リベルテがウィクトルの背を叩く。まだ私に気づいていないウィクトルは、何事もなかったかのように振り返り、リベルテへと視線を注いだ。それからリベルテが、ウィクトルに、私のことを告げる。ウィクトルの目がこちらへ向いたのは、その後。
「ウタくん……なぜここに……?」
入り口の方へと向かっていたはずのウィクトルの足が止まる。
「あ……その、気にしないで。偶々呼ばれて来ていたの」
「そうだったのか」
「私のことは気にしないで。ウィクトルはウィクトルの役目を果たしてちょうだい」
彼には彼の任務がある。今は私に構っている場合ではないはずだ。イヴァンの命令が絶対なのだとしたら、彼には、私のことを気にしている暇などない。私はそれでも構わないのだ。ウィクトルの足を引っ張るくらいなら、無視される方が良い。
「……そう、だな」
ウィクトルはなぜか悲しげな目をした。
止めてほしい、こちらまで悲しくなってくるから。
その数秒後、ウィクトルは体の前面を私とは違う方向へ向け、再び入り口へと進み始める。
私は密かに「良かった」と安堵した。イヴァンのいるここでは、どのみち仲良くなんてできない。語り合うことだって無理。それなら、彼が批判されない展開になるのが、一番良い展開だと言えるはず。
だが、刹那。
空気が派手に揺れ動いた。
「まずいぞ! 入られた!」
入り口の向こう側から、悲鳴にも似たそんな声が飛んでくる。
「深くまで踏み込ませるな!!」
「何でもいい! 止めろ! 誰でもいいから止めてくれっ!!」
悲痛な叫びと共に鳴り響くのは、地鳴りのような足音。
凄まじい勢いだ。
「どうします」
ウィクトルは素早く身を返し、イヴァンに選択を問う。
「殺せ」
イヴァンの口から出た短い判断にどよめきが起こる。
ただ、ウィクトルは慣れているらしく、さほど驚いていない。
「侵入者は皆殺し、ですか」
「そうだ。敵は消す」
「承知しました。では、侵入者は皆殺しで」
復唱し、入り口に視線を注ぐ。
その時のウィクトルは、私の知る彼ではなかった。
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