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七話「第一の事件から、進展まで」
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その日、株縫志は、来店した田和 真知子とたわいない世間話をしていた。天気のことだとか、ラジオ番組のことだとか。何ということのない話を。
そうして株縫志との会話を終えた真知子。
彼女が、コンビニから十メートルほど離れた場所で、何者かに殺された——それが、第一の事件だった。
田和和島は平和な島。
島民は穏やかな性格の者が多く、争いを望むような質の者は「いない」と言っても過言ではない。
それゆえ、皆、真知子を殺害したのが島民だとは思えず。株縫志も、島民が真知子を殺したとは思えなかった。
その日の晩、田和和島の島長である山之川 田和和が、公民館に島民らを呼び出す。田和和島に暮らす島民百五十六人が、公民館の一室へ集まった。そこにはもちろん、株縫志の姿もある。
島長の田和和は、真知子が殺害された事件について、島民らに簡単に説明。また、偶々通りかかって第一発見者となった三十歳の青年・板峰 バンは、真知子を発見したその時の状況について、口を開いた。
穏やかだった田和和島。
それは一瞬にして失われた。
そんな緊迫した状況の皆に、島長は「外へ行く時は一人で行動しないこと。また、見かけない顔を見つけたら、なるべく速やかに皆のところへ合流するように」と指示を出した。
招集に慌て、着の身着のままで公民館へ来た者などは、翌朝から一旦帰宅。
しかし、独り暮らしの者もいる。
一人の時に狙われては危険なので、独り暮らしの者の帰宅には誰かが付き添った。
株縫志も、幾人かに付き添ったのだった。
五月二十二日、午前九時。
第二の事件が発生。
起床し、少し外の空気を吸ってくると公民館から出ていった田和和 万代子が、何者かに殺害されたのだ。
またしても起きてしまった事件。
島民らはもちろん、株縫志も、これにはさすがに戦慄せずにはいられなかった。
なぜって、これだけ皆で協力し注意していたにもかかわらず、またもや事件が起きてしまったから。
また、株縫志が戦慄した理由は、他にもあった。
一人目の被害者、真知子。
二人目の被害者、万代子。
どちらも、いつもコンビニへ来てくれる人で、しかも株縫志が親しくしていた人だったのだ。
株縫志は彼女らと不健全な関係に至っていたわけではない。ただ、この島の中では、比較的仲良くしている二人だった。
そこに何か意味があるように思えて。
だからこそ、株縫志は怖かった。
言葉で上手く説明することはできず。しかしながら、自分との親しさと殺害が無関係だとも思えず。
株縫志はただただ悶々とするしかなかった。
その晩の公民館は、とにかく恐怖に満ちていた。
女性や子どもはまた事件が起こることを恐れ、トイレにすら行きづらいような状態。男性は緊張のあまりピリピリしている。
そんな空気のせいか、株縫志は頭痛になってしまった。
いつになく酷い頭痛に座り込んでいると、一人の女性が話しかけてきてくれ、鎮痛剤をくれた。株縫志はそれを飲む。すると、頭痛はほんの少しだけ軽くなった。
その日の夜中。
第三の事件が発生した。
殺されたのは一人の女性。
夜中に目覚めた女性がトイレへ行きたいと言うので同行し、待っている間に殺められたのだった。
殺められた女性をちらりと見て、株縫志は驚いた。
昨晩鎮痛剤をくれた女性だったから。
またしても自分に関係のある女性が殺害された。株縫志は、それまでは自意識過剰かもしれないと思っていたが、この件で納得した。これはもはや自分も無関係とは言えない、と。
自分への恨みゆえか。
それとも別の理由があるのか。
株縫志にはそこまでは分からなくて。
けれども無関係ではないと強く思った株縫志は、ついに行動することに決めた。
株縫志は誰にも話すことなく、一人公民館を出る。
真実を確かめる、そのために。
そうして株縫志との会話を終えた真知子。
彼女が、コンビニから十メートルほど離れた場所で、何者かに殺された——それが、第一の事件だった。
田和和島は平和な島。
島民は穏やかな性格の者が多く、争いを望むような質の者は「いない」と言っても過言ではない。
それゆえ、皆、真知子を殺害したのが島民だとは思えず。株縫志も、島民が真知子を殺したとは思えなかった。
その日の晩、田和和島の島長である山之川 田和和が、公民館に島民らを呼び出す。田和和島に暮らす島民百五十六人が、公民館の一室へ集まった。そこにはもちろん、株縫志の姿もある。
島長の田和和は、真知子が殺害された事件について、島民らに簡単に説明。また、偶々通りかかって第一発見者となった三十歳の青年・板峰 バンは、真知子を発見したその時の状況について、口を開いた。
穏やかだった田和和島。
それは一瞬にして失われた。
そんな緊迫した状況の皆に、島長は「外へ行く時は一人で行動しないこと。また、見かけない顔を見つけたら、なるべく速やかに皆のところへ合流するように」と指示を出した。
招集に慌て、着の身着のままで公民館へ来た者などは、翌朝から一旦帰宅。
しかし、独り暮らしの者もいる。
一人の時に狙われては危険なので、独り暮らしの者の帰宅には誰かが付き添った。
株縫志も、幾人かに付き添ったのだった。
五月二十二日、午前九時。
第二の事件が発生。
起床し、少し外の空気を吸ってくると公民館から出ていった田和和 万代子が、何者かに殺害されたのだ。
またしても起きてしまった事件。
島民らはもちろん、株縫志も、これにはさすがに戦慄せずにはいられなかった。
なぜって、これだけ皆で協力し注意していたにもかかわらず、またもや事件が起きてしまったから。
また、株縫志が戦慄した理由は、他にもあった。
一人目の被害者、真知子。
二人目の被害者、万代子。
どちらも、いつもコンビニへ来てくれる人で、しかも株縫志が親しくしていた人だったのだ。
株縫志は彼女らと不健全な関係に至っていたわけではない。ただ、この島の中では、比較的仲良くしている二人だった。
そこに何か意味があるように思えて。
だからこそ、株縫志は怖かった。
言葉で上手く説明することはできず。しかしながら、自分との親しさと殺害が無関係だとも思えず。
株縫志はただただ悶々とするしかなかった。
その晩の公民館は、とにかく恐怖に満ちていた。
女性や子どもはまた事件が起こることを恐れ、トイレにすら行きづらいような状態。男性は緊張のあまりピリピリしている。
そんな空気のせいか、株縫志は頭痛になってしまった。
いつになく酷い頭痛に座り込んでいると、一人の女性が話しかけてきてくれ、鎮痛剤をくれた。株縫志はそれを飲む。すると、頭痛はほんの少しだけ軽くなった。
その日の夜中。
第三の事件が発生した。
殺されたのは一人の女性。
夜中に目覚めた女性がトイレへ行きたいと言うので同行し、待っている間に殺められたのだった。
殺められた女性をちらりと見て、株縫志は驚いた。
昨晩鎮痛剤をくれた女性だったから。
またしても自分に関係のある女性が殺害された。株縫志は、それまでは自意識過剰かもしれないと思っていたが、この件で納得した。これはもはや自分も無関係とは言えない、と。
自分への恨みゆえか。
それとも別の理由があるのか。
株縫志にはそこまでは分からなくて。
けれども無関係ではないと強く思った株縫志は、ついに行動することに決めた。
株縫志は誰にも話すことなく、一人公民館を出る。
真実を確かめる、そのために。
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