婚約破棄されましたが落ち込んでいる暇はありません! ~日々仕事が忙しいのです~

四季

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前編

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「お前との婚約は破棄する! お前との縁はここまでだ、もうすべておしまいにする」

 婚約者オーウェンからそう告げられたのが、昨日。

 彼は私ではない女性を愛した。
 そしてついに私を捨てた、切り落としたのだ。

 でも、だからといって、のんびり落ち込んでいる暇はない!! ――なんせ私にはやるべきことがあるから。

 じっとしてはいられないのだ。

「いらっしゃいませ!」
「こんにちは~、久々ねぇ元気にしていた?」

 そう、我が家はアイス専門店をしている。

 だから毎日忙しい。

 自分で言うのも何だが……これでも結構人気店である。

「はい! とっても元気です!」
「ふふ、なら良かったわぁ」

 そして、今日もまた、顔見知りがやって来る。

「今日は抹茶アイスがいいわねぇ」
「ありがとうございます! 抹茶を気に入っていただけていて嬉しいです!」
「四つお願いねぇ」
「承知しました!」
「持ち帰りに時間がかかるからねぇ、冷却成分多めで頼むわねぇ」
「はい! いつも通りですね!」

 仕事時間中はあれこれ忙しくて大変さもある。が、知っている人と会えるのは嬉しいし、お客さんから「美味しかった」「良かった」と言ってもらえることもまたとてつもなく嬉しいことだ。だからこそ日常の苦労も痛くはないし日々乗り越えられている。
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