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前編
しおりを挟むある日、森の中で木々を伐採していたら。
「お前一体何してるんだ!?」
婚約者オーギュオスにその姿を目撃されてしまって。
「何、って……伐採しているのですけど」
「仕事か!?」
「そうですね、半分仕事のような感じでしょうか。親の手伝いもかねて、やりたいことをやっています」
土にまみれている姿を見られてしまったために。
「そうか……お前、結構野蛮だったんだな」
「え」
「あーあ、がっかりだわ」
「……がっかり!?」
「ああそうだよがっかりそのものだ」
告げられてしまう。
「ってことで、婚約は破棄する!!」
――そんなことを。
「え、ちょ……その、あまりに身勝手ではないですか……?」
「身勝手だと? 俺の結婚相手くらい俺に選ばせてくれよ! 選択権は誰にも奪えないってもんだろが!」
オーギュオスの心は私から離れてしまったようだ。
本当に伐採の件のせいなのか、あるいは、別の原因もあったのか。
そのあたりは定かではないけれど。
ただ、彼の気持ちが私と離れていっているということだけは、どうあがいても事実なのだろう。
「土まみれになった女なんぞ無理なんだよ!」
「酷いですよ……ちょっと、あまりにも……」
「はぁ? 何でもいいだろ! 好きにさせろ! お前に発言権なんざないんだよ!」
こうしてオーギュオスとの関係は終わりを迎えてしまったのだった。
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