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3話
しおりを挟む「ローザさん、今日木の実を買ってきたんです!」
私とエルベリウスの日常は穏やかそのもの。
何にも、誰にも、邪魔されはしない。
「え、木の実? どんなです?」
「これです! 二種類ですよ~」
「あっ! これ! これって、確か、前に食べた高級ドライフルーツにあったやつじゃ」
「ええ、それですそれです。そうですよ」
「あれ! すっごく美味しかったんです! うわぁ、これも美味しいかなぁ」
今日もまた、穏やかな日。
天気も、気候も、夫婦関係も――すべてにおいて平穏な一日。
「ふふ、嬉しそうですね」
「はい! きっとこれ美味しいですもん! ああ、食べたぁ~い」
「じゃあ早速食べてみましょうか~」
「ワクワクします!」
ちなみにレーゼットはというと、あの後婚約した女性のこともまた浮気するのではと疑うようになってしまったようで、監禁していたようだ。しかし女性は自力で脱出。親にそのことを訴えた。で、その後、精神的苦痛を与えたという話でレーゼットは婚約破棄されたようだ。もちろんそれだけではなく、慰謝料も支払わされたのだとか。
でもまぁ……その女性も私と同じようにあんな風にされていたのだとしたら、慰謝料を求めるのも分からないではない。
監禁するなんて、精神的苦痛を与える行為以外の何物でもない。
で、レーゼットは、今では多くの人から『婚約者を監禁する趣味のある怖い男』と思われているようだ。
それもあって、婚約してくれる女性はまったく現れないらしい。
「うわっ、すごい! 美味しい! これは前のより美味しいんじゃ!?」
「ほんと?」
「ええ! はい! 前のあれ以上かもしれません!」
「良いのを買えたかな~」
「天才ですエルベリウスさん」
それにしても美味しいな、この木の実。
「また買ってくるよ!」
「え、本当ですか!? 嬉しい! ぜひ、お願いします!」
◆終わり◆
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