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112話 「告げる時」
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話はまとまったので、救護所のエリアスがいるところへ戻る。するとそこにはジェシカの姿があった。
「王女様! お帰りっ」
いつも通りの明るい笑顔で迎えてくれる。一切曇りのないその笑顔は向日葵のように眩しくて、少々目がくらみそうだ。
その後エリアスも「お帰りなさい」と声をかけてくれる。彼が言ったのはたった一言なのに、なぜかドキドキして、返答を詰まらせてしまった。
「ジェシカさん、ノアさんの調子はどう?」
ふと思い尋ねる。ノアはかなり重傷の部類だったので心配だ。
「大丈夫大丈夫! そのうち治るって言われたよっ」
「意識はあるの?」
「うーん、それは微妙かな。寝言みたいなの言ったりはしてたけど」
……安定ね。重傷の時にまで寝言とは、随分な余裕ね。
意識は戻っていないようだが、死に至るほどの深刻なダメージでないのなら、ひとまずは安心である。
その時、一人の看護師がやって来た。どうもジェシカを呼びに来たらしい。彼女に何やら話し、すぐに去っていく。するとジェシカは笑みを浮かべて、ちょっと行ってくるね、とだけ残して向こうへ行ってしまった。
エリアスと私、そしてヴァネッサ。急に三人になると少し気まずい。
「王女、何の用件でしたか?」
「そうだった。実はね……」
——女王になることにしたの。
そんなことをいきなり言えるわけがない。そんなことを言ったらエリアスとの距離が遠くなってしまいそうで……怖い。
私が女王に就任することを伝えれば、彼はきっと喜んでくれるだろう。
けれど今まで通りにはいかないかもしれない。
「アンナ王女、なぜ仰らないのですか」
ヴァネッサが追い討ちをかけるように言ってくる。エリアスは心配そうな表情で私を見つめている。
このまま黙っているわけにはいかない。逃げることはできない。
「私、女王に……なるの……」
悪いことではないのに、なぜか胸が痛む。
どうしてこんなに辛いのか、私にはよく分からなかった。けれど、無意識のうちに視界がぼやけて、エリアスの姿がはっきりと見えなくなる。
「……そうでしたか」
彼の指が私の頬に触れる。ゆっくりと流れ落ちる涙の粒を、彼の指が拭った。
「おめでとうございます、王女。貴女ならきっと……国民から愛される立派な女王になられることでしょう」
彼は優しく微笑んだけれど、その声は震えていた。
私がこんなに早く女王になることに驚き動揺しているのか、それとも他の何かがあるのか、それは分からない。ただ一つ分かるのは、彼が平常心を保てていないということだけだ。
「とてもおめでたいことです。ただ……少し寂しくなります」
「エリアス?」
俯いた彼の顔は哀愁を帯びている。長い睫が物悲しさをひときわ際立たせていた。
「貴女はもう大人なのですね。王女。どうか、幸せになって下さい」
「え? 何の話?」
エリアスの言葉の意味がさっぱり分からず戸惑う私に、ヴァネッサが声をかけてくる。
「女王になること、すなわち、大人になること。そういう意味で、エンジェリカでは昔からずっと、戴冠式と結婚式を兼ねるのですよ」
……え? ちょ、何て?
突然のことに思わずキョトンとしてしまう。
「この二週間の間に貴女は結婚相手を決めなくてはなりません」
「えっ!? そんな話、聞いていないわ」
「心配せずとも、ディルク王が良き花婿候補を連れてきて下さることでしょう」
ヴァネッサが珍しく微笑む。
……完全に騙された。結婚なんてまだ早い。私にはそんなこと考えられない。
こんなことってないわ。どう考えても変よ!
「どうかお幸せに……っ」
エリアスは言いかけて言葉を詰まらせた。
「ねぇエリアス、大丈夫?」
私が手を掴もうとすると、彼はそれを拒否した。こんなことは初めてだ。彼が私を拒むなんて。少しショックだ。
「すみません王女……。どうかお許し下さい。今触れてしまったら、私は貴女をもう……二度と離せなくなってしまいます」
彼は震えながら言葉を紡ぐ。
こんなエリアスを誰が想像しただろうか。あれほど強く勇ましく戦い続けてきた彼が、今は信じられないほどに弱い。私が守ってあげたいと思うくらいに弱々しい。
「私は貴女を愛してしまった。それが間違いなのです。私は貴女を愛するべきではなかった。どうか……この情けない私を、この情けない感情を、一言で消し去って下さい」
エリアスは愚かだ。今初めてそう思った。彼は賢くて優しくて完璧な男性だと思っていたが、どうやらそれは間違いだったらしい。もしも彼が賢いのなら、「消し去って下さい」なんて私に頼むはずがない。
そんなこと、私にできるはずがないのだから。
「ねぇ知ってる? 『エンジェリカの秘宝』はね、どんな願いも叶えるの」
いくら地位のある偉い男性だとしても、見ず知らずの相手と結婚するなんてごめんだわ。
「エリアス、貴方の願いを言って」
暫し沈黙が訪れた。
ヴァネッサは腕を組みながら様子を静観している。
一瞬のようにも永遠のようにも感じられるような時間が過ぎ、エリアスはようやく口を開く。
「……私は、ずっと貴女の傍にいたいです」
彼の口から出たそれは、私が待っている言葉でもあった。
「決まりね!」
エリアスは顔を上げて目をパチパチさせる。私の答えが予想外だったのだろうか。戸惑っているように見える。
「貴方は私の傍にいたい。私も貴方の傍にいたい。とても簡単な話だったわね」
「王女、一体どういう意味ですか?」
「結婚するの! そうすればずっと一緒にいられるわ。よし、早速お父様に言ってくる!」
私は飛びきりの笑みを浮かべてから、早速王の間へ行くことにした。善は急げ、ってね。
「待ちなさい! アンナ王女! 話がまったく見えませんよ!」
ヴァネッサの怒った声に背を向け、私は迷いなく歩き出す。
明るい未来へと——!
「王女様! お帰りっ」
いつも通りの明るい笑顔で迎えてくれる。一切曇りのないその笑顔は向日葵のように眩しくて、少々目がくらみそうだ。
その後エリアスも「お帰りなさい」と声をかけてくれる。彼が言ったのはたった一言なのに、なぜかドキドキして、返答を詰まらせてしまった。
「ジェシカさん、ノアさんの調子はどう?」
ふと思い尋ねる。ノアはかなり重傷の部類だったので心配だ。
「大丈夫大丈夫! そのうち治るって言われたよっ」
「意識はあるの?」
「うーん、それは微妙かな。寝言みたいなの言ったりはしてたけど」
……安定ね。重傷の時にまで寝言とは、随分な余裕ね。
意識は戻っていないようだが、死に至るほどの深刻なダメージでないのなら、ひとまずは安心である。
その時、一人の看護師がやって来た。どうもジェシカを呼びに来たらしい。彼女に何やら話し、すぐに去っていく。するとジェシカは笑みを浮かべて、ちょっと行ってくるね、とだけ残して向こうへ行ってしまった。
エリアスと私、そしてヴァネッサ。急に三人になると少し気まずい。
「王女、何の用件でしたか?」
「そうだった。実はね……」
——女王になることにしたの。
そんなことをいきなり言えるわけがない。そんなことを言ったらエリアスとの距離が遠くなってしまいそうで……怖い。
私が女王に就任することを伝えれば、彼はきっと喜んでくれるだろう。
けれど今まで通りにはいかないかもしれない。
「アンナ王女、なぜ仰らないのですか」
ヴァネッサが追い討ちをかけるように言ってくる。エリアスは心配そうな表情で私を見つめている。
このまま黙っているわけにはいかない。逃げることはできない。
「私、女王に……なるの……」
悪いことではないのに、なぜか胸が痛む。
どうしてこんなに辛いのか、私にはよく分からなかった。けれど、無意識のうちに視界がぼやけて、エリアスの姿がはっきりと見えなくなる。
「……そうでしたか」
彼の指が私の頬に触れる。ゆっくりと流れ落ちる涙の粒を、彼の指が拭った。
「おめでとうございます、王女。貴女ならきっと……国民から愛される立派な女王になられることでしょう」
彼は優しく微笑んだけれど、その声は震えていた。
私がこんなに早く女王になることに驚き動揺しているのか、それとも他の何かがあるのか、それは分からない。ただ一つ分かるのは、彼が平常心を保てていないということだけだ。
「とてもおめでたいことです。ただ……少し寂しくなります」
「エリアス?」
俯いた彼の顔は哀愁を帯びている。長い睫が物悲しさをひときわ際立たせていた。
「貴女はもう大人なのですね。王女。どうか、幸せになって下さい」
「え? 何の話?」
エリアスの言葉の意味がさっぱり分からず戸惑う私に、ヴァネッサが声をかけてくる。
「女王になること、すなわち、大人になること。そういう意味で、エンジェリカでは昔からずっと、戴冠式と結婚式を兼ねるのですよ」
……え? ちょ、何て?
突然のことに思わずキョトンとしてしまう。
「この二週間の間に貴女は結婚相手を決めなくてはなりません」
「えっ!? そんな話、聞いていないわ」
「心配せずとも、ディルク王が良き花婿候補を連れてきて下さることでしょう」
ヴァネッサが珍しく微笑む。
……完全に騙された。結婚なんてまだ早い。私にはそんなこと考えられない。
こんなことってないわ。どう考えても変よ!
「どうかお幸せに……っ」
エリアスは言いかけて言葉を詰まらせた。
「ねぇエリアス、大丈夫?」
私が手を掴もうとすると、彼はそれを拒否した。こんなことは初めてだ。彼が私を拒むなんて。少しショックだ。
「すみません王女……。どうかお許し下さい。今触れてしまったら、私は貴女をもう……二度と離せなくなってしまいます」
彼は震えながら言葉を紡ぐ。
こんなエリアスを誰が想像しただろうか。あれほど強く勇ましく戦い続けてきた彼が、今は信じられないほどに弱い。私が守ってあげたいと思うくらいに弱々しい。
「私は貴女を愛してしまった。それが間違いなのです。私は貴女を愛するべきではなかった。どうか……この情けない私を、この情けない感情を、一言で消し去って下さい」
エリアスは愚かだ。今初めてそう思った。彼は賢くて優しくて完璧な男性だと思っていたが、どうやらそれは間違いだったらしい。もしも彼が賢いのなら、「消し去って下さい」なんて私に頼むはずがない。
そんなこと、私にできるはずがないのだから。
「ねぇ知ってる? 『エンジェリカの秘宝』はね、どんな願いも叶えるの」
いくら地位のある偉い男性だとしても、見ず知らずの相手と結婚するなんてごめんだわ。
「エリアス、貴方の願いを言って」
暫し沈黙が訪れた。
ヴァネッサは腕を組みながら様子を静観している。
一瞬のようにも永遠のようにも感じられるような時間が過ぎ、エリアスはようやく口を開く。
「……私は、ずっと貴女の傍にいたいです」
彼の口から出たそれは、私が待っている言葉でもあった。
「決まりね!」
エリアスは顔を上げて目をパチパチさせる。私の答えが予想外だったのだろうか。戸惑っているように見える。
「貴方は私の傍にいたい。私も貴方の傍にいたい。とても簡単な話だったわね」
「王女、一体どういう意味ですか?」
「結婚するの! そうすればずっと一緒にいられるわ。よし、早速お父様に言ってくる!」
私は飛びきりの笑みを浮かべてから、早速王の間へ行くことにした。善は急げ、ってね。
「待ちなさい! アンナ王女! 話がまったく見えませんよ!」
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