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前編
しおりを挟む私には三つ年上の婚約者がいる。
彼の名はリーゲン。
たまに情緒不安定だが基本的には明るい人だ。
だからこの関係はそこそこ順調に進んでいるのだと思っていた――でも私はその日偶然聞いてしまう。
「婚約者さんと上手くやってんのか? お前」
「ああ、ああ、やってんよ」
「大丈夫かよ。好みのタイプじゃねぇんだろ? そんなやつの相手、お前にできるのかよ」
「できるできる。ってか、大人しいやつだし、放置しときゃいいんだよ」
リーゲンは友人とそんなことを話しているところを。
「ひでぇリーゲン悪魔だろそれ」
「いいんだよ! どーせ何も言ってこねぇ」
「まじか」
「まじに決まってんだろ」
「さすがは悪魔リーゲンとか言われただけあるな。これまで数十人の女を泣かせてきたもんな」
私は何も知らなかったようだ。
彼の本性について。
傍にいても、言葉を交わしていても、私は彼の中を知らなかった――。
ああそうか。
そんな心ない人だったのか。
私はその会話を録音し、帰宅した。
その後両親などにも相談をしてリーゲンとの関係を終わりへと進めてゆくこととした。
「リーゲンくん、裏でこんなことを言っていたとは」
「へ?」
「これを聞け」
話し合いの日、父は録音した音源を流す。
「最低だな?」
「い、いや、いやいやいや! これ俺じゃないっすよ?」
「君の声だ」
「違うっす!」
リーゲンは否定するが、父は受け入れない。
「よって、婚約は破棄とさせてもらう」
急に「えええー!!」と叫び声をあげるリーゲン。
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