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前編
しおりを挟むそう、それは、婚約者アダムスから婚約破棄を告げられた翌日のことだった。
「アナタト結婚シタイト考エテイマス、ドウカ受ケ入レテクダサイオネガイシマス」
家の前に小型の宇宙船が止まっていて。
くらげとたこを足して二で割ったような外見をした意味不明な生き物がいきなりそんなことを言ってきた。
「我々ハ無限ニ金ヲツクリダセル種族、ユエ、結婚シテクダサルナラ迷惑ハカケマセンシ苦労モサセマセン。ドウデショウカ……共ニ生キテハクレマセンカ?」
いやいや、はいそうですね良いですよ、なんて言えるわけがないだろう。それでなくとも、昨日婚約者に切り捨てられたばかりで落ち込み気味だというのに。
――普通はそう思うところなのだろうが。
「え。私で良いのですか?」
「ハイ! モチロン! 貴女ガヨイノデス!」
その時の私は少しどうかしていて。
「良いですよ、私でいいのならそうしましょう」
「ヤッタ! デハキマリデスネ!」
謎の宇宙人からの申し出に首を縦に振ってしまった。
そうして私はその謎生物と夫婦になることとなったのだった。
……あり得ない? 馬鹿みたい? いや、本当に。私もそう思う。自分でも、何でこんな運命を受け入れたのだろう、と思う。が、頷いてしまった以上もう今さらやめますなんて言えない。それに……これもきっと何かの縁なのだろう。
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