婚約破棄して支援は継続? 無理ですよ

四季

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前編

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 私、コルネリア・ガレットは、婚約者レインと対峙している。

 何でも彼に話したいことがあるらしい。

「それで、話って?」

 私の実家は領地持ちかつ長い歴史を持つ家。
 資産はそれなりにあり、収入も少なくはない。

 私はそこの一人娘ということもあって、子どもの頃から、色々な人に狙われることが多かった。ちなみに、狙われるというのは暴力的な意味ではなく。子を私と婚約させようと考える大人も少なくなかった、というような意味である。つまり、そういう人たちは私と家族の誰かを結びつけることによって私の実家と繋がりを持とうとしていたのである。

 だが何とか逃れてきた。

 そんな私が婚約したのは、レイン・レガート。彼は騎士を多く輩出してきた家の息子。ただ、彼の実家は、今や何の力も持っていない。というのも、レインの祖父にあたる人が酒で色々やらかし、その子孫に騎士となる権利はなくなったのだ。

 彼は私の実家に執着しているわけではなかった。

 だから私も嬉しかった。

 金、権力、収入……そういうものとして私を見ない、そんな彼を良く思っていた。一緒にいても狙われていないと感じられるから心地よい。だからこそ婚約したのである。

「婚約のことなのだが……」
「婚約?」
「実は、その……婚約破棄させてほしいと、考えている」

 雷に打たれたような感覚が全身を駆け巡る。

 それでも平静を装うよう努める。
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