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前編
しおりを挟む「あんたの婚約者、あたしのものになったから」
姉ミレーネからそう告げられたのは、ある晴れた日だった。
「え……?」
「だ、か、ら! あんたの婚約者、ロザリオ様のことよ!」
「ロザリオさんのこと?」
「そう! 彼、あんたとの婚約は破棄してあたしと婚約するんですって」
最初は何を言われているのかちっとも分からなくて。
「えええーっ!?」
少し話が進んでからようやく理解した。
それはつまり、ミレーネがロザリオを奪ったということなのだ――私は婚約者をかすめとられたのだ。
「そんな! どうして!?」
「彼、あたしの方がいいみたい」
「ええ……でもそんな急な……」
「ま、そういうことだから。ロザリオ様にとってはあんたはもう要らない存在なのよ」
「えええ……」
「分かった?」
「まだ信じられないわ」
「でも事実よ、受け入れなさい。あんたはね、女として姉であるあたしに負けたの!」
どうしてそんな言い方をするの?
意地悪な言い方。
敢えて挑発してきているかのような調子。
――その後、ロザリオから正式に話があって、婚約は本当に破棄されてしまった。
実際に彼の口からその言葉を聞くまでは「何かの間違いではないか?」とか「もしかして姉が嘘をついている?」とか思っていたけれど、どうやらそういうわけではないようだった。
やはり私は捨てられたのか……。
「ね? 嘘じゃなかったでしょう?」
その日、ミレーネはとても機嫌が良かった。
話しかけてくる時もにやにやしていた。
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