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後編
しおりを挟む妹の婚約者を奪えたのがそんなに嬉しかったのだろうか? ……その気持ちはよく分からない。そんなことをして嬉しいものか? それも、義理ではなく本当の姉妹なのに。同じ血を引く人間なのに。……人の心とはなかなか謎である。
「ええ……でも姉さん、いまだに信じられないの」
私はただそれしか言えなかった。
本当に、心にはそれしかなくて。
「そうでしょうねぇ、ラブラブだったものねぇ少し前までは」
「本当にそうよ」
「でもざ~んねん! ロザリオ様はあたしのものよ!」
「そうみたいね」
「あら、意外と素直ね? 負け惜しみの一つでも言うかと思ったけれど、案外大人しいじゃない」
「婚約破棄されたことは事実だもの、何も言えないわ」
そして姉はロザリオと婚約した。
◆
あれから二年八ヶ月が経った。
結論から言うと、ミレーネはあの後ロザリオと他の女のことで揉めて別れた。
何でもロザリオは何人もの女と裏で付き合っているというような素行に問題のある人だったようで、それがばれたことで大揉めになり、婚約破棄にまで至ってしまったようだった。
で、ミレーネは今は実家で親と暮らしているようだ。
けれどもロザリオ関連のことで親とも少々気まずくなっているらしく、非常に居づらい空気の中で生きるしかない状況に陥っているらしい。
ま、それはそうだろう――妹の婚約者を奪って婚約したのにそれがそんなことになってしまったのだから。
気まずくないわけがない。
で、ロザリオはというと、作っていた女の内の一人に捕まってしまったそう。彼は今、その女性の家に監禁され、愛するという名目で拷問に近いようなことをされ続けているそうだ。ロザリオの未来に光はない、彼はこれから先ずっと苦しみながら闇の中で生きてゆくほかないのだ。
……と、二人は残念なことになったのだが。
私はというと、この国でかなり強大な権力を持つヘルファイン家の子息と結ばれることができた。
そして今は愛する人と共にのんびり生活できている。
お金に困ることはなく、仕事に追われることもなく、優雅な生活を楽しめているのだ。
彼に見初めてもらえたのは幸運だった。
それによって私の人生は大きく変わったから。
◆終わり◆
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