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前編
しおりを挟むその日は平凡なありふれた日だった。
なんということのない日。
とにかく普通そのものな晴れの日。
「来たな」
そんな日、婚約者オールレーに呼び出された。
「はい」
「お前との婚約に関する話だ」
「はい……?」
「婚約は破棄とする!」
「ええっ」
思わず出てしまう声。
「本気なのですか……? でもまたどうして……? 急に……?」
「驚いているようだな」
「はい、びっくりです」
「もっと俺に相応しい人に出会ったから、だ。だから婚約破棄するんだ」
「そうですか……分かりました、では」
脳はまだ話に追いつけていないけれど、その場で静かに一礼する。
「さようなら、オールレーさん」
去り際、彼の家の前にある花壇には美しい色とりどりの花が咲いていた。
それはまるで祝福であるかのようで。
私の新しい一歩を祝ってくれているかのようだった。
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