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前編
しおりを挟む婚約者だった青年ルリフォードから婚約破棄を言いわたされたのは、ほんの数日前のことだ。
そして現在、私は命の危機に陥っている。
彼に捨てられた日。
私は謎の病を発症した。
異常なほど高熱が出続ける病――医師からは奇病の類だろうと言われたけれど詳しいことは分からなかった。
ただ、そんな状態になっていてもなお、婚約破棄された瞬間のあの衝撃と絶望感は脳裏に焼き付いて離れない。
終わってしまったことを考えても意味などないと分かっていてもなお、どうしても、ずっとそれに関して考えてしまうのだ。
「死んでは駄目よ……お願い、生きて……」
母はいつもベッドの脇に貼りついてくれていた。
でもその様子はとても辛そうで。
彼女の存在は、私の中の申し訳ない気持ちを膨らませるだけでしかない。
「ごめん」
「そんなこと言わないで! 貴女は悪くない、悪くないの……」
母はずっと泣いている。
それが悲しい。
つい先日まで普通に暮らせていたのだ、だからこそ悲しみが大きい。
どうか泣かないで。
そう言いたい。
けれども今の私には――そんなことを言う資格はないのだろう。
「母さん……」
「どうなったとしても貴女に罪はない。でも、どうか、何とか生き延びてほしいの。愛する娘に先立たれるなんて嫌よ」
「うん、うん……ありがとう母さん、私、できる限り頑張るから」
ルリフォードのせい? いいや、それはさすがに理不尽だ。でも、彼の行動が引き金になった可能性はある。無関係? そうだろうか? そうとは思えない。他に何かそれらしい原因があるわけではないし。もちろん、すべての責任がルリフォードにあるとは思わないけれど。
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