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後編
しおりを挟むそんな日の夜、兄がいきなりやって来た。
「大丈夫か!?」
「兄さん……まだ生きているわ……」
「辛いか?」
兄はなぜか汚れていた。
山登りでもしてきたのだろうか?
あるいは道中で泥にはまったとか?
「そう、ね……でも、今は、まだ少しましな気がするの」
それは本心だった。
体調には波があるのだ。
死にそうな時もあれば少しは楽な時もある。
今は少し楽な時――だと思う、辛さは抑えられている。
「良かった!」
「え?」
「やっぱり! 安心してくれ、きっとこれからよくなる!」
「ええ……何よそれ、どういう自信……?」
「すべては後で話すさ。元気になってからな! だから、今はゆっくり休めよ」
その時は兄の言葉の意味はよく分からなかった。
けれどもその日から状態は回復傾向になり、熱も徐々に下がり始めて、倦怠感などの他の症状も和らいでいった。
そしてついに!
自由に動いて問題ない、という許可が出た!
「良かったぁぁぁぁぁぁぁぁ」
母は大きな声を発しながら泣いていた。
でもそれは嬉しさゆえの涙。
かつての涙とは種が違う。
――これは後に兄が教えてくれた話だが。
あの謎の病はルリフォードの恋人である女性が怪しい儀式を行っていたことが原因だったようだ。
非現実的な話ではあるけれど、私はどうやらそれにやられていたようである。
で、あの日、兄は専門家に依頼してその女性を潰してきてくれたのだそうだ。
ちなみにルリフォードはというと、愛する女性を失ったことで絶望し心が壊れてしまったそう。
今は親に介護してもらって生きているような状態らしくて。
もはやかつての彼は存在しないも同然だそうだ。
ま、彼のことはどうでもいいけれど。
それから数年はあっという間に時が流れ、私は、一度も体調を崩すことなく近所の資産家の息子である男性と結婚した。
◆終わり◆
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