お邪魔しますわよ

四季

文字の大きさ
1 / 2

1.

しおりを挟む
「お邪魔しますわよ」

 クラウディアがコックピットに入ってくる。

「……クラウディアさん。いきなり何ですか」

 出撃準備をしていたリスタンは、彼女を見上げ、困った顔をする。リスタンがアイーネと仲良くなってからというもの、クラウディアはやたらリスタンに近付くようになった。その意図は不明だが。

 クラウディアは狭いコックピット内で、操縦席に座ったリスタンに身を添わせる。

「ところで、アイーネちゃんとはどこまで進みましたの?」
「……何のお話ですか」

 刹那、クラウディアは怪訝な顔のリスタンを操縦席の背もたれに押し付け、その首もとにキスをする。リスタンは唖然として硬直する。

「その感じでは、あまり進んでいないようですわね。……まぁ構いませんわ」

 しばらくしてリスタンは正気を取り戻す。

「何するんですか! 止めて下さい、急に!」

 しかし言い終わって間もなく今度は頬にキスされる。リスタンは逃れようとしたが、既に安全ベルトを装着していたため身動きがとれない。はずそうと試みるも、クラウディアが邪魔で動けない。

「どう? いいかしら」

 コックピットという狭い密室で、他に人はおらず逃れる場所はない。リスタンは必死に抵抗するが、クラウディアはうっとりしながら彼を抱き締め離さない。体を触られ首にはキスされやられ放題のリスタンは、これ以上近づきたくない、と顔を上向ける。

「……んんっ!」

 しかし、抵抗のかいもなく、クラウディアの唇がリスタンの唇に重なり、彼の整った顔は嫌悪に歪む。好きでもない、友人ですらない、ただの知り合いの女性にここまでされるということは、彼にとって何よりの屈辱だった。

「……ん、はぁ、良かった?」
「い、いきなり何す、んん!?」

 唇が離れたのはほんの僅かな時間だけで、すぐに再び密着する。甘い音が二人でいるには狭いコックピットに響いた。
 それからも、時々息継ぎをしつつ何度も接吻した。
 リスタンは徐々に彼女のペースに乗せられ、抵抗する力を失いつつあった。こんなことをしている場合ではないと思いつつも、体が動かない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

【完結】番のキミが幸せでありさえすれば それでいい

美麗
恋愛
獣人の国 スピノザ 私、エンリケは王弟として生をうけた。 父と母は番であるため、私と兄はもちろん同母兄弟である。 ただし、番を感じることは稀であり 通常は婚約者と婚姻する。 万が一ではあるが、番の命の危険には 番の悲鳴が聞こえるとの そんな 話もあるようだ。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...