突如婚約破棄、そして彼は消えた。

四季

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突如婚約破棄、そして彼は消えた。

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「ルルミア・オードリアス! 女性らしくなく忠実でもない女として最低な貴様との婚約は、本日をもって破棄とする!!」

 婚約者ロドリゲスはそう叫んだ。

 が、次の瞬間、どこからともなく発生した雲のようなものが彼を包み込む。

「なっ……こ、これは……一体……っ!?」

 何が起きたのか分からない。
 心当たりはない。

「き、貴様っ……魔術でも、使ったか……!?」

 そんなわけないだろう、と思っていると。

「うわああああああ!!」

 彼は姿が見えない状態で叫ぶ。

 そして彼は消えた。

 その場に残されたのは私一人。
 静寂が訪れる。

 彼は完全に消え去ってしまった。
 血の一滴も、毛一本も、肉の一部さえも、ここには残されていない。

「さ、帰ろ~」

 何が起きたのかよく分からないけれど、婚約破棄されたことは事実。ならばもう彼がどうなろうが私には関係ない。だってもう婚約者同士ではないのだから。彼の行方など私には無関係だ。

 帰り道、美しく愛らしいたんぽぽが生えているのを見かけた。


◆終わり◆
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