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前編

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「お前、不細工だよなほーんと」

 婚約者レーゼンが酷い言葉を告げてきた。

 なぜそんなことを言うの?
 そう思い、もやもやしていると。

「よって、婚約は破棄とする」

 彼はそのような言葉を並べた。

「え……」
「いいな?」

 よそで不細工と言われたことはないのだが。
 確かに絶世の美女ではないだろうけれど。

「待って、どういうこと」
「だから婚約破棄だよ」
「……不細工だから?」
「ああそうだ、そういうことだ。だってお前、不細工だろ? お前みたいなやつ生きてる価値ないし、それに、お前みたいなやつに子ができたらその子が気の毒だろうが」

 こうしてレーゼンとの関係は急に終わってしまった。


 ◆


 それからしばらく悲しみの中にあった私の前に現れたのは、一人の魔女だった。

「あなたを美女にしてあげるわ」
「え」
「どう? いいでしょ?」
「は、はい」

 こうして私は美女になった。
 魔女の魔法によって。
 鏡を見た瞬間驚いたくらいの美しい顔立ちになっていた。

「その姿で彼に近づきなさい――そして絶望させてあげるのよ」
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