雨が降ってきた しとしとと

四季

文字の大きさ
1 / 1

雨が降ってきた しとしとと

しおりを挟む

雨が降ってきた
しとしとと
静かに
身を舐めるように洗うように
降り注ぐ滴

こんな昼下がりには
思い出すことがある
あれはあなたとの最後の日
あなたが「婚約破棄」を告げてきた
あの日の空だ
あの日もこんな風に
灰色に覆われた空がわたしたちを見下ろしていた

あの日は
涙と雨が混ざって
何が何だか分からないくらい
濡れていた
でもそれもまた一つの思い出で
今はもう
それに縛られているわたしではない

どんな雨もいつかはやむのだ

永遠はない

どんな雲もいつかは去るのだ

永遠ではない

人生もそれと同じ
すべてはそういうこと

だから見上げよう

空を

どんな時も

雨が降ってきた
しとしとと
静かに
身を舐めるように洗うように
降り注ぐ滴

けれどももうじきやむだろう

その時を心待ちにして

雨粒の音を楽しんでいる
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?

四季
恋愛
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?

婚約破棄して支援は継続? 無理ですよ

四季
恋愛
領地持ちかつ長い歴史を持つ家の一人娘であるコルネリア・ガレットは、婚約者レインに呼び出されて……。

失礼な人のことはさすがに許せません

四季
恋愛
「パッとしないなぁ、ははは」 それが、初めて会った時に婚約者が発した言葉。 ただ、婚約者アルタイルの失礼な発言はそれだけでは終わらず、まだまだ続いていって……。

わたくしが代わりに妻となることにしましたの、と、妹に告げられました

四季
恋愛
私には婚約者がいたのだが、婚約者はいつの間にか妹と仲良くなっていたらしい。

貴方が望むなら死んであげる。でも、後に何があっても、後悔しないで。

四季
恋愛
私は人の本心を読むことができる。 だから婚約者が私に「死んでほしい」と思っていることも知っている。

婚約者を奪えて良かったですね! 今どんなお気持ちですか?

四季
恋愛
「お姉様、申し訳ありませんけれど、ダルビン様はいただきますわ」 ある日突然腹違いの妹からそんなことを告げられた。 気付いた時には既に婚約者を奪われていて……。

晩餐会の会場に、ぱぁん、と乾いた音が響きました。どうやら友人でもある女性が婚約破棄されてしまったようです。

四季
恋愛
晩餐会の会場に、ぱぁん、と乾いた音が響きました。 どうやら友人でもある女性が婚約破棄されてしまったようです。

幼馴染、幼馴染、そんなに彼女のことが大切ですか。――いいでしょう、ならば、婚約破棄をしましょう。~病弱な幼馴染の彼女は、実は……~

銀灰
恋愛
テリシアの婚約者セシルは、病弱だという幼馴染にばかりかまけていた。 自身で稼ぐこともせず、幼馴染を庇護するため、テシリアに金を無心する毎日を送るセシル。 そんな関係に限界を感じ、テリシアはセシルに婚約破棄を突き付けた。 テリシアに見捨てられたセシルは、てっきりその幼馴染と添い遂げると思われたが――。 その幼馴染は、道化のようなとんでもない秘密を抱えていた!? はたして、物語の結末は――?

処理中です...